今でこそ英語で言いたいことを言えるようになって仕事上の英語にもさほど不自由しなくなりましたが、思い返せばここまで来るのに結構遠回りしてきたように思います。
もう少しやり方を考えればもっと早く英語が使えるようになったのになぁ、と思うのです。
今まで英語をやってきてつくづく思うのは、英語は勉強するものではないということ。
もちろん最低限の学習は必要なんですが、英語をビジネスツールとして使いこなすには、どこかのタイミングで机に向かう時間よりも話す/聴く練習に比重を置くようにしないと、いつまで経っても話せるようになりません。
「英語を勉強する」から「英語を練習する」に意識を変えるだけで劇的に英語が話せるようになる理由について説明します。
英語は机に向かった時間に比例して伸びるという錯覚
私は、日本の中高でやる英語教育はメディアで批判されるほど悪いものではないと思います。
特に中学3年間で習う英語は、少ない時間で効率良く英語の知識を習得出来るようなカリキュラムになっており、全く英語に対する予備知識が無い人でもスムーズに学習できるようになっています。
しかしこれが高校英語になると受験対策の色がだんだん濃くなってきて、まさに「英語は勉強」という雰囲気に支配されていきます。
また大学に入った後も、英語は単に卒業要件を満たすためだけに単位を取っている人がほとんどではないでしょうか。
こうなると、もはや当初の「英語はコミュニケーションを取るために英語を学んでいる」という目的は忘れ去られています。
そういう時期を長く過ごしてきたために、多くの人は英語力は机に向かっている時間と比例すると思い込んでしまっているのです。
でもちょっと待ってください。
将来、英語教師や通訳、英文学の研究者になるつもりなら、英文法は完璧に勉強しなければなりませんが、ビジネスで使う程度の英語レベルであれば、机に向かってガリ勉する必要は全くありません。
英語の知識は十分持っている、足りないのはアウトプットする力
多くの日本人は、頭の奥底に十分な英語知識を既に持っています。
普通に高校を出ている人であれば、中学・高校の6年間で学んだ英語知識は相当なものです。
なのに英語を話せないのは、単に英語を話すトレーニングをしてこなかったから。
知識が入った引き出しがたくさんあるのに引き出しの滑りが悪くて中身をうまく取り出せない状態なんです。
言わば、普段使っていない引き出しの滑りが悪いのと同じなんです。
そのため、頭の中の英単語や英文法をスルっと口から出してあげるには、引き出しから取り出して口から出す練習を何度も繰り返して引き出しをスムーズにするわけです。
そうして頭の中の英語がスラスラと取り出せるようになるとアウトプット力がどんどん上がっていきます。
アウトプット力を鍛える方法とは
せっかく頭に蓄積した知識でも、使わなければ宝の持ち腐れです。
いい包丁を持っているのに料理をしないのと一緒です。
また包丁の使い方を説明書で完璧に覚えても、包丁さばきが上手になるわけではありません。
英語も同様で、いくら机上で文法や単語を覚えても会話が出来るようにはならないのです。
ここではアウトプットを鍛える方法をいくつか紹介します。
音読する
音読のいいところは、黙読に比べてインプット力が強力なこと。
黙読は文字通り、黙って読むので
だけの動作です。
それが音読した場合は
・読んだ文を話す(口からアウトプット)
・それを耳で聞く(耳によるインプット)
という動作になり、インプット量が2倍になります。
同じ文章を読むのに黙読と音読ではインプット量が2倍違うため、音読したほうが記憶への定着力が断然いいのです。
特に威力を感じたのは、語彙力(ボキャブラリ)を上げるときです。
最初はキクタンやDUO3.0を電車の中で黙読でやっていましたが、何回見ても覚えられない単語がたくさん出てきて挫折しそうになったのです。
あまりにも頭に入らないので、半ばやけになって例文を音読するようにしたところ、あれだけ覚えられなかった単語がスルっと頭に入ってくるようになりました。
一人で出来るスピーキング練習
頭の中で仮想の相手を作って一人でロールプレイングをやる方法です。
お金がかからず、練習したいときに練習したいシチュエーションを自由に作れるところが魅力です。
ただこの方法は少し想像力を膨らませる必要があるため、慣れないと少し難しいかもしれません。
ポイントは自身が俳優/女優になったつもりで、ロールプレイングの主人公を演じることです。
一度慣れてしまうと、自分の苦手な会話シチュエーションなど一人で練習できるので、かなり強力なアウトプット練習のツールになります。
個人的にはこの練習+オンライン英会話が一番スピーキング力の向上に効きました。
英語で3行日記
1日2~3行程度の日記を英語で書いてアウトプット力を鍛える方法です。
最初は簡単な日常の出来事を英文にすることすらままならないと思いますが、毎日毎日繰り返していくうちに、言い回しのストックが増えていって、スラスラと英語日記を書けるようになります。
日記では「今日◎◎に行って××が△△だった。やはり◇◇は〇〇でないとダメだと思った。」みたいな内容が多いですよね。
こういう表現は仕事の会話でも、状況説明するのにそのまま使えます。
「今日◎◎の製造ラインで検査装置が故障したため予定数の製造が出来なかった。やはり製造ラインの検査装置は〇〇製でないとダメだと思う」といった感じに応用できますよね。
実際に英会話をアウトプットしてみる
1回の実践は100回の練習に勝るといいます。
昔は英会話を実践しようとすれば英会話スクールに行くしかなく、どうしても金銭的なハードルが高かったです。
しかし最近ではオンライン英会話の出現によって、英会話練習のコストが劇的に安くなりました。
1ヵ月間、毎日25分話せて5,000~6,000円程度ですから使わない理由はありませんね。
目指す英語によって、アプローチの方法は異なる
結局どのレベルの英語を目指すのかによって、最短で到達する方法はそれぞれ異なります。
とりあえず英語で意思疎通が出来て業務を遂行できるレベルを目指すのであれば、中学3年間の文法を軽くやった後にどんどん会話のトレーニングをするのが一番です。
TOEICで800点以上を狙っているのであれば、文法はキッチリやる必要があります。会話練習は二の次にして、とにかく文法、語彙、練習問題をこなすのがハイスコアへの近道です。
私は当初は前者の「英語で意思疎通が出来て業務を遂行できる」レベルを目指していたのに、TOEICでハイスコアを取れば自然と英語で意思疎通ができる(話せるようになる)と思い込んでひたすら机に向かっていた時期があります。
おかげでTOEICのスコアは上がりましたが、肝心のオーラルコミュニケーション能力はイマイチ上がった感じがしませんでした。
今考えれば当然のことで、インプットばかり重視していてアウトプットを全然やっていなかったのですから、話せるようになるはずが無かったのです
英語でのコミュニケーションができることを重視するのであれば、スポーツの練習のように繰り返し繰り返し練習するに限ります。
頭で覚えるのではなく、定型文や会話の流れを体に染み込ませるまで繰り返しトレーニングすることで、頭で考えずに口から英語が出てくるようになります。
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