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大学入試の英語が変わる?ペーパーテストに加えてスピーキング試験も?

studyhard

先日のプレジデントオンラインに興味深い記事がありました。

安河内哲也「入試が大学のグローバル化の足を引っ張っている」 (2ページ目)
ガラパゴス的受験英語が大学のグローバル化を遅らせている。4技能のホンモノの英語を勉強すれば志望校に合格となれば教育改革が進む。

安河内哲也氏はご存知のように東進ハイスクールの英語講師で、林先生ほどメディアには露出していませんが受験界では著名な講師です。

安河内氏は予備校のトップ講師だけあって書籍はどれも非常に判りやすく、受験テクニック的なノウハウというよりは英語の本質を判りやすく解説することに長けており、その解説には定評があります。

私も知らなかったのですが安河内氏は、文科省の「英語教育の在り方に関する有識者会議」や「英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会」などの委員に参画されているようで、大学入試改革への提言も行っているとのこと。

このインタビューの中で氏は、

  • 学習指導要綱では読む/書く/聞く/話すの4技能の指導を推奨しているのに、指導要綱とかけ離れた大学入試が実施されている。
  • 現在の入試が大学のグローバル化の足を引っ張っている。
  • 世界的には読む、書く、聞く、話すの4技能を評価しており、日本も導入すべき。
  • 現行のセンター試験が2019年度に終了するため、新テストの制度設計では4技能評価を盛り込む。

について言及しています。

予備校の立場で言えば、大学試験制度がどうあれ「試験に合格する」ことを目的に指導すれば予備校としての使命は果たすことになるのですが、安河内氏はその枠に留まらず、日本人の英語力を底上げするにはどうすればよいのか、重箱の隅を突くような英語知識ではなく実践的な英語力をつけるにはどうすればいいのか、ということを有識者会議などで提言しています。

文科省も大学入試の弊害を認識し、入試改革を検討中

具体的には、2019年以降のセンター試験に変わる新試験(英語)は、以下の方向で議論されているようです。

  • 現行の2技能(聞く、読む)から世界的な4技能評価(読む、書く、聞く、話す)への変更。
  • 従来のペーパー試験に加え、オーラル(口頭)試験も加わる。
  • 重箱の隅を突くような英語の知識を問う試験ではなく、運用力を問う試験に。

いまの英語の試験は、どちらかというと英語という言語の知識を問う問題や昔の英語詩の翻訳など、一体誰が得するのかわからない問題が多いのですが、英文学やキリスト教をを学ぼうとする学生以外は、英語をつかってベーシックなコミュニケートが出来るほうが有用なはずです。

乱暴な言い方をすれば、シェークスピアを原文で読んで理解出来る英語力よりも、もっと基本的な現代英語を操る英語力を重視しようとする方針には大賛成です。

現行の大学入試は人材を埋もれさせるだけ

個人的には、現行のペーパー一発試験の大学入試は無くすべきだと思います。

そもそも、大学入試を一発試験でやっている国は日本と韓国だけです。中学、高校で一生懸命勉強してきたことが、たった1回の試験の結果で判断されるのです。

たまたまその日が体調悪くても、試験日に身内に不幸があったとしても他の日に振り替えることもできません。

体調などどんなに厳密に管理したところで風邪やインフルエンザを100%回避出来る方法は無いのですから「自己管理が出来ていない!」と切り捨ててしまうのは不条理です。

せっかく能力があっても、試験日の出来・不出来で志望大学での就学機会を逃してしまうシステムはどう考えてもおかしい。

オリンピックの陸上競技や競泳など、タイムや距離を競う競技などはレース一発で優劣を決することには合理性があります。スポーツの試合では結果のみで勝敗が決まり、今までの努力は評価されないのが普通です。それに異論がある人はいないでしょう。

しかし大学入試はスポーツではありません。特定の日に瞬間的な得点を競わせることに合理性があると思えません。しいて言えば、大学側の入学審査が楽ということぐらいでしょう。

機会が年に一度しかないから必死に勉強する。そのこと自体はいいと思いますが、あまりにも大学の入り口が狭すぎるがために入試が終わると勉強せずにただ遊ぶだけの、いわゆる「モラトリアム期間」などと揶揄されてしまうのです。

一方欧米の大学入試は、我が国のような一発試験ではなく、高校時代の成績評定と年に複数回受けられる統一試験、それとエッセイで出願することができ、入学の敷居が日本よりも低いです。一発試験の結果よりも日々の学習成果に重点を置いています。

入学の敷居が高くない代わりに単位取得と卒業要件が厳しいため、学生は遊んでいる暇がありません。

入学時の学力が高くても4年間遊んできた学生と、入学時の学力が多少劣っていても4年間必死に勉強してきた学生では、どちらが社会に出てきたときの人材価値が高いかは言うまでもありません。

日本の大学入試、大学教育はいずれ欧米と同じスタイルに変わっていくと思います。そうしないと、グローバルな労働市場では海外の大学を卒業した人材に勝てなくなってくるでしょう。

今後は大学入試でもスピーキングが課せられる

今回紹介した安河内氏とイーオン三宅氏の対談記事は、予備校講師と英会話学校経営者との対談なのでいささかステマな雰囲気がありますが(笑)、それを差し引いてもこのインタビュー記事は今後の入試対策にインパクトのある情報です。

4技能を等しく測ろうとすれば、現在のリーディング問題数は絞られ、話す技能、書く技能に時間が振り向けられるでしょう。そうなると、少なくともいまのような重箱の隅をつつくような捻った問題は少なくなり、TOEIC Speaking & WritingやTEAPのようなテスト形式に変わっていくでしょう。

個人的には大学入試用の問題など作らずに、民間の英語能力テストのスコア提出で代用してもいいと思います。

いずれにせよ、英語の知識を問う試験から、英語の運用能力を問う試験に変わることは、これから世界と戦っていく人材育成には必要な改革だと思います。

教育現場でスピーキングを教えるには、英語教員の底上げや指導要綱の作成などいろいろハードルがあると思いますが、是非とも頑張って実現していただきたい施策です。

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