よく「日本人は中高6年も勉強しているのに英語が話せない」「その原因は文法に偏った英語教育にある」と、文法中心の英語教育を批判する意見を見かけますが、私はその意見を聞くたびに「本当にそうなの?」と思ってしまいます。
今回は私の体験も含めて
・日本の英語教育は決して間違っていない
・日本人の英語学習に足りないこと
・こうすれば英語は1ヵ月で話せるようになる
についてお話したいと思います。
日本人の英語力は決して低くない
先日、ネットニュースを見ていたらふと「英語を1ヶ月で習得するコツとは?」という刺激的な見出しの記事が目に付きました。
そんなバカな、英語を1ヶ月で習得なんて出来るわけないでしょ、と思うかもしれませんが、記事を読むと非常に共感できることが書かれていました。
実際、高校を卒業したほとんどの日本人は外国人への道案内すらできません。恐らく大学卒業時点でもその割合はあまり変わらないと思います。
来日したどこかの外国人が「日本人は学校で6年も英語を学んでいるのに英語が話せないのはなぜ?」と指摘されたことに外圧に弱いメディアが乗っかったことも「文法教育 悪影響説」を後押ししていると思います。
でも、先の記事では日本人の英語レベルはそんなに低くない、と言っています。
グローバル社会で日常的に話されている英語のレベルは、実はそれほど高くはない。日本の教育レベルで説明すると、ちょうど「高校英語+α」が標準である。単語数にすると約2000語かそれよりも少なく、文法もシンプルである。
それに比べて、日本の大学受験を経験した日本人ビジネスパーソンの多くが持つ単語数は3500語以上、複雑な文法にも詳しく発音もほぼ完璧だ。それなのに多くの人が「思うように英語が話せない」と悩むのである。
引用:http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20161112/zuuonline_127695.html?_p=2
この記事の筆者は、外資系銀行で12年間の勤務経験があり、ご自身で英会話教室も主宰されているバリバリのマルチリンガルな方です。
私もこの意見には同意で、常々日本人の英語の基礎的な知識は決して世界にひけを取るものではないと思っていました。
よくヒスパニックやラテン系の人達は文法が間違ってても積極的に話すからすぐに上達する、日本人はシャイで正確に話そうとするためになかなか上達しない、という意見を耳にします。
確かにラテン系の人達は文法はメチャクチャでも「とにかく通じればいい」に主眼を置いているのでどんどん上達します。
しかし、ある程度話せるようになるとそれで生活が出来てしまうので、それ以上英語力が伸びなくなります。
いつまで経っても「ソレ、ホシイ、ワタシ。2コ。」という感じです。
このレベルではビジネスに使うのはどうでしょうか?ちょっと語彙が少なすぎますよね。
一方、日本人はちゃんとした英語を話そうとするがために、話すことを躊躇してしまいます。
かつての私も、学生時代のトラウマで「間違えると笑われる」「間違えるとダサイ」「変な英語を話すとネタにされる」と思ってしまい、英語で話すことに対して消極的でした。
しかし日本人は高校までの英語教育で語彙数は2,000程度ありますし、英語の文法は一通り学んでいます。大学受験を経験したビジネスパーソンであれば3,500語以上の語彙を持っています。
ビジネスで使う最低限必要な語彙や文法は既に一度インプットしています。
それでも話せないのは、単に話す経験、話す練習が足りないだけなのです。
日本人に足りないのは、スピーキングとリスニングの経験
ラテン系の人達は最初はぐーんと伸びるのですが、元々持っている語彙力や文法力がそんなに高くないので、すぐに壁にぶつかります。
一方、日本人は高校受験や大学受験で詰め込まれた語彙力や無駄に細かい文法力を既に備えている反面、間違った英語を話すことを避けようとするがために言葉少な目になりがちです。
つまり、足りないのはスピーキングとリスニングの訓練なんです。正確に話すことよりも、通じなかったら言い方を変えて何度でも話すといった「英語慣れ」を経験することが必要です。
カタコト英語でも英語で話すことに慣れれば、日本人はラテン系の彼らよりも高いレベルに短期間で到達出来るポテンシャルを持っていると思います。
TOEIC850点でスピーキングが全然ダメな同僚
実際、TOEIC850点を持っている同僚も最初は全然英語を話せませんでした。
初めて参加する外国人との打ち合わせで、同席している日本人含めみんな英語ペラペラで気後れしてしまい、うまく議論に加わることができませんでした。
実際、参加している日本人の英語レベルは大したレベルではありませんが、堂々と話しているのを見ると流暢に英語話しているように見えちゃうんですよね。
私も初めは半導体商社の営業さんが話す英語がとっても流暢に感じて、それに気後れしてしまって聞きたいことの半分も聞けずに打ち合わせが終わったことがあるので、その気持ちがよく判ります。
今当時を振り返ってみると、あの営業さんの英語はそれほどでもなかったなと思いますが(失礼)、そういう状況にいると自分以外の人はみんな上手に見えてしまうんですよね。
そんな同僚も何度か打ち合わせに出るうちに度胸がついてきて、文法が間違っていようが単語が思い出せないだろうがどんどん話すうちに、今では一人で海外とskypeミーティングするまでになっています。
彼が初めて外国人との打ち合わせに出てから、一人でskypeミーティング出来るようになるまでわずか3ヵ月です。
元々、英語の知識を備えていた(TOEIC850点)のと、毎日のように電話会議やTV会議をこなすことが結果的にアウトプット練習(話す練習)になっていたことが大きかったのだと思います。
日本の英語教育はインプット偏重
私は、日本の英語教育は巷で批判されるほど悪いものではないと思っています。
既に日本語という母国語を獲得している中学生に対して、効率よく外国語を習得出来るよう文法から教えるのは理に適っています。
問題なのは、アウトプット(書く、話す)する機会が少なすぎることなんです。
高校受験、大学受験で英語の知識を詰め込むだけ詰め込んで、その知識をアウトプットする機会がほとんど無いのが問題なのです。
ここで言う「アウトプット」は覚えた内容を試験で吐き出すことではなく、実際に外国人相手に話したり、メールや手紙を書いてコミュニケートする「アウトプット」です。
つまり、たくさんインプットしたものの、それを吐き出すところが無い状態なのが平均的な日本人の英語力です。
英語をアウトプットしまくるには
TOEICのスコアは600点以上あるけど会話が全然ダメという人や、大学時代、研究室で英語の文献を読みまくったから読むのはなんとかなるけど話すのはちょっと…と言う人は、英語の基礎力は既に備わっているので、アウトプットしまくればみるみる内に英語が上達します。
要は場数が足りないだけです。
場数を踏むには、英会話教室に通う、オンライン英会話で練習するなどいくつかやり方はありますが、個人的にはオンライン英会話がオススメです。
1日1レッスン(25分)を毎日受けて約5,000~7,000円/月程度と、1回当たり数百円でコストパフォーマンス抜群です。
何といっても予約がオンラインで自由に出来るのと、講師によっては夜中でもOKな人がいるので、受講時間の自由度が相当高いですし、しかもマンツーマンレッスンなので、グループレッスンのように他の生徒に気兼ねせずに済むところがいい。
1レッスン25分というと短いように感じますが、マンツーマンで25分ですから結構な時間です。
これを30日間毎日続けたとしたら、それだけで相当なアウトプット量です。
普通に高校卒業程度の英語力がある人が、毎日レッスンを受けて30日間やり通せば、少なくとも海外旅行で自由に行動できる程度までブラッシュアップできるはずです。
5,000~7,000円の費用と期間1か月で、海外旅行で不自由しないぐらいの会話力が身に着けられると考えれば、かなりコストパフォーマンスが高いのではないでしょうか。
ある程度英語の読み書きは出来るけど話すのがちょっと…という人や、近々海外出張を控えている人で短期間にスピーキングをやり直したい人には、オンライン英会話は特にお勧めです。
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