スウェーデンやフィンランドなどの北欧の人達は、みんな流暢な英語を話しますよね。
出張先で知り合ったフィンランド人も英語が流暢で、在米歴が長いのかと思ったらカリフォルニアに来て2ヵ月しか経っていないと言われてびっくりしたことがあります。
聞いてみると、フィンランドでは彼らのようなエンジニアだけでなくトラック運転手でもある程度の英語コミュニケーションはできるそうで、英語圏の人間が北欧に行っても言葉で困ることはほとんど無いそうです。
なぜ彼らはこんなにも英語が流暢なのでしょうか?
北欧の英語レベル
フィンランドで話されている英語はシンガポールやフィリピンで話される英語と同様に自国語化された語彙が多い、いわゆる”フィングリッシュ”です。
とは言っても、彼らは見た目がコケイジャン(Caucasian)なので英語を話しているのを見ると、多少訛っていてもネイティブスピーカーのように見えてしまいます。そのぐらい流暢です。
さすがにお年寄り世代では英語が話せない人も多いですが、現役世代のほとんどが母国語以外に英語が話せるそうです。
なぜ彼らは英語が流暢なのか?
国内需要だけで食べていけない
ノルウェーは人口が500万人程度なので、国内需要だけでは国民が食べていけないという背景があります。
これは他の北欧の国にも言えることで、スウェーデンの人口が約1千万人、フィンランド、デンマークがそれぞれ約500万人で、この4つの国を合わせても約2500万人程度の市場しかありません。(ちなみに関東地方の人口は約4000万人)
おのずと海外市場に出て行かざるを得ないため、英語が必須となるわけです。
北欧企業で世界的に有名なところをざっと挙げると、
<スウェーデン>
・IKEA(家具)
・H&M(アパレル)
・ボルボ(自動車)
・エリクソン(通信)
<デンマーク>
・レゴ(玩具)
・ロイヤル・コペンハーゲン(磁器)
<ノルウェー>
・ヘリーハンセン(アパレル)
・オペラソフトウェア(ブラウザ)
業種によってはこれ以外にも有名な企業がたくさんあります。
私が凄いと思ったのは、日本の関東地方よりも少ない人口でこれだけの世界的企業を輩出していること。
スウェーデンなんか東京都と同じぐらいの人口なのに、SAABという航空機メーカーが戦闘機まで作っているのですから驚きです。
低学年からの英語教育
国内人口が1千万人に満たない市場ですからおのずと海外に出て商売しなければならず、そのために小学校低学年から英語教育が行われます。
しかし小学生から外国語教育をやるからと言ってお遊びのような学習ではなく、しっかりと英文法もやるのだそうです。
「文法はゲームでいうところのルール。ルールを知らずしてゲームはできない」というのが根底にあるので、幼児教育としての英語だけでなく、体系的に理解できるような英語教育システムができあがっています。
外国産アニメは英語のまま放送する
ディズニーなどの外国産アニメは、吹替や字幕を入れずに英語のまま放送しているのだそうです。
それを聞いたとき「子供はそれで楽しめるの?」と思いましたが、「子供は動画が面白ければなんとなくストーリーが追えるから大体わかる」のだそうです。
知り合いのフィンランド人曰く、外国産アニメをそのまま放送するのは吹替や翻訳のコストがかからない上に、学校で教わった英語を実践出来るいい教材になるという意味も多分にあるのだろう、とのこと。
確かに、学校で習ってもそれを使う場所が無いと単なる上辺だけの知識で終わってしまうので、英語のまま放送するのは非常に合理的です。
自国人のインタビュー映像などは字幕がつかない
海外で活躍する北欧の人達は、皆流暢な英語でインタビューに応えています。
その映像が本国で流れるときは、字幕が付かないのが普通なんだそうです。
最近では日本人アスリートも海外メディアのインタビューには英語で応えることが多くなりましたが、国内で放送するときは必ず翻訳字幕がつきますよね。
たまに日本人の英語インタビューに日本語の吹替がついて、思わず吹き出しそうになります。そこは字幕にしてあげたほうが、一生懸命英語で対応している人が可哀そうだと思うのは自分だけでしょうか?
まとめ
・海外市場に活路を求めるために英語が必需品である。
・小学校低学年から英語教育があり、国全体が英語教育に最適化されている。
北欧の4カ国が集まっても日本の関東地方の人口に及ばないぐらいなので、国内需要はたかが知れています。
そうなると海外市場で稼がないと食べていけないのですから、英語の習得にも熱が入るというものです。
しかしそれは日本にとっても他人事ではありません。
日本も数年前から人口が減少に転じ、このまま進めば2030年には人口の1/3が65歳以上になると言われています。
そうなると、国内市場は縮小するので海外市場に活路を求めないと生き残っていけなくなります。
また、労働力の中核をなす生産人口(15歳以上65歳未満)も減少していくので、遅かれ早かれ労働市場の門戸を開いて外国人労働者を積極的に受け入れないと国内事業すら立ち行かなくなるときがやってきます。
今の50代はなんとか逃げ切れるかもしれませんが、40代以下の人達は外国人労働者との競争にさらされても生き残れるワークスキルを身に着けておく必要があります。
つまりこれからは、
・同僚や部下に外国人が増える。
・外国人の上司が増える。
という環境が珍しくなくなるので、より英語が必要とされてきます。
そういった環境では、仕事のスキルに加えて英語ができれば人材的にはかなり重宝されるはずです。
逆に、英語しかできない人や英語も仕事も出来ない人はかなりヤバい状況になるでしょうね。
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