グローバルで仕事するためには英語は必須なツールですが、私の周りには必要以上に「発音の悪さ」を気にしている人が多いです。いわゆる「日本語訛り」。
どうしてそう思うのか聞いてみると、
「相手に”もっとちゃんとした英語話せよ”と内心思われているのではないか」
「帰国子女が流暢な英語を話していると、自分の英語が恥ずかしい」
「英語が出来る人に発音の悪さを裏で”笑われる”ような気がする」
といったコンプレックスが多いようです。
確かに私も海外出張に行き始めたときはそんな風に感じたこともありましたが、今では全くそう思わなくなりました。
ここでハッキリ断言しておきます。
英語の発音が悪いからと言ってそれを恥ずかしがることは全くありません!
その理由を説明しましょう。
発音の悪さを笑うのは日本人と性格の悪いネイティブスピーカーだけ
よく、留学経験が無い芸能人が海外の映画祭などで英語でスピーチしたり、日本人アスリートが海外ツアーで英語でインタビューに応えたりする映像がニュースで流れると、必ずネット上で
「よくあんなヒドイ英語で話せるなwww」
とか
「あれで英検○級とか言ってて恥ずかしくないのww」
みたいな反応をする人がいます。
一方で、同じインタビュー映像を海外で見たときに、その発音を嘲笑する英語圏の人間を私は見たことがありません。
ほとんどの人が「おい、お前の国の○○ってスゲーな!」といった感じに、その偉業やプレイをストレートに称える反応が一般的です。
普通の人間であれば、外国人と取引が多い職場で発音を小馬鹿にするような発言をすれば、相手が不快に感じるだろうということは容易に想像がつきます。
稀に「オマエ、何話してんのかわかんねーよww」みたいな反応をする外国人もいますが、そういうのは大抵は社内でも嫌われている性格の悪い人間だったりします。
それと、ファーストフード店などで低賃金で働いている移民の中にも、外国人旅行者の発音をあざける人が稀にいますね。
こういった人たちに共通しているのは、自分より劣っている人間を嘲笑うことで自尊心を保っていること。
つまり、母国語の発音ぐらいしか彼らに勝っているところが無いわけです。
日本人にもいますよね、「日本に来たなら日本語話せよ!」って吠える人が。
一般的なネイティブスピーカーは外国訛りを笑わない
私が今まで会ってきた海外企業のビジネスマン、エンジニアが外国語訛りを嘲笑ったりするところを一度も見たことがありません。
私が取引している企業が電気/電子/IT系が多く、元々インド系、東欧系などの外国人エンジニアが多い環境だったことも影響していると思いますが、発音で小馬鹿にされたことは一度もありません。
海外メーカーと取引を始めたばかりのときは、
「Excuse me?(何?)」
「Pardon? Please say it again?(え?もう一回言ってもらえますか?)」
なんて言われて顔が真っ赤になることがままありましたが、それ自体は発音を嘲笑ったわけではではありません。
かつては英語圏でも外国人が少ない地域では非ネイティブスピーカーに対する差別というか見えない壁がありましたが、外国語訛りの英語に触れる機会が多くなったせいか、以前ほど発音を嘲笑うような風潮が無くなった感じがします。(ポリティカリー・コレクトが進んで表面的に差別が抑えられているという面もありますが)
イッテQの出川イングリッシュを見てもわかりますが、本当にわからないときは「何のこと?」「何を言ってるかわからない」と言うことはあっても、あからさまに「コイツ、何喋ってるのかわかんねーよ!」と吐き捨てられることはまずありません。
あのぐらいヒドイ英語(失礼)を話しても、あの程度の反応で済むのです。
むしろ日本語訛りのほうが得をする
英語の発音は日本語訛りよりもネイティブに近いぐらい流暢なほうがいいと思いますか?
僕の答えは「日本語訛りで全然構わない」です。
まず、英語が訛っているということは、その人にとって英語は「第二外国語」なわけです。
相手にしてみれば
「あぁ、この人は英語が母国語じゃないんだな」
と思うでしょう。そして多くのネイティブスピーカーは
「俺は母国語(英語)しか話せないのに、この人は母国語+外国語を話すのか…」
と感じるのです。
ネイティブスピーカーの多くは母国語(英語)しか話せません。なぜなら英語は世界共通語で、どこの国に言っても英語が通じるので、外国語を学ぶ必要が無いのです。
どんな国でも空港とホテルは英語が通じますから、本当に外国語が必要なシーンはそう多くはありません。大体は非英語圏の人が英語を話すので事足りてしまいます。
下手に発音が流暢だとハードルが上がるだけ
中には親が移民で「英語+親の出身国の言語」を話す人もいますが、そういう人はバイリンガルの苦労を知っているので、発音の悪さをあざけることはありません。
その結果、難しい言い回しを理解できないような顔をしていると、こちらの英語のレベルに合わせて言い換えてくれたり、難しい単語は平易な単語に置換えてくれたりと配慮してくれます。
しかし、ネイティブのようにいい発音の英語で話すと、相手は同じネイティブスピーカーだと思って自分と同じレベルで会話していくことになります。
相手の言ってることがわからず「???」な顔をしていると「俺の言ってることがわかんないの?」となって、途端にハードルが上がるのです。
ネイティブに近づく努力をするより、その時間を使って業務スキルを上げたほうが効率的
日本で生まれて日本人の環境で育った人が、イングリッシュネイティブのような発音になるには相当な努力が必要です。
あなたが通訳者やハリウッド俳優を目指しているのなら、英語圏に留学してでもネイティブのような発音を手に入れるべきですが、ビジネスの場で使う英語を獲得するだけなら、留学してまで発音を矯正する必要なんてありません。
私の経験上、どんなに発音が流暢だとしても、話している内容がつまらなかったら相手は退屈するだけです。
一方で、発音がどんなにヘタクソでもエキサイトするような話だったら、相手は一生懸命聞いてくれるのです。
ソフトバンクグループの社長である孫正義氏は、単なる日本の携帯電話会社の経営者ではなく、世界の有望な事業に投資する投資家としても有名です。
そんな孫氏ですが、決して流暢な英語を話しているわけではありません。この動画を見るとわかりますが、日本語訛りの、いかにも外国人の話す英語です。(とは言っても彼はUCバークレーに留学し、在学中に音声付き翻訳機の特許をシャープにライセンスして1億円の契約を取ったのは有名な話)
しかし彼の英語がいくら外国語訛りであっても、話している内容が理路整然として相手を惹きつける内容であれば、発音のことなど誰も気にしないものです。
私は以前から、発音をネイティブに近づける努力に時間を費やすよりも、その時間を使って業務スキルを上げたり論理的思考を鍛えたほうがビジネスツールとしての英語がより生きる、と言っているのはそういった理由からです。
まとめ:日本語訛りを矯正する暇があったら、論理的思考を鍛えるべき
私の経験上、相手に全く通じないほど発音が悪いのでなければ日本語訛りを気にする必要は全くありません。
「カッコイイ英語を話したいから留学する」なんていうのは売れない芸能人だけでいいのです。
我々ビジネスマンが英語を習得する目的は何でしょうか?
私の場合は「収入を上げる」ただそれだけです。
英語を使えるようになれば、他の社員よりも重要な仕事を手がけられるチャンスが巡ってきます。
そのチャンスを掴んでグローバルな仕事で成果を出せば、おのずと収入がついてきます。
収入が上がれば子供への教育にお金もかけられますし、家族で気兼ねなく美味しいものを食べに行ったり、海外旅行を我慢しなくてもよくなります。
グローバルな仕事で成果を出すのに流暢な発音は必要条件ではないのです。
英語の発音は日本語訛りで十分です。発音をネイティブ並みに鍛えたいから語学留学するなんて投資効率が悪すぎます。
そんな時間があるのなら、今の業務に関するスキルを高めたり、論理的思考を鍛えることに時間を使ったほうがよほど有意義だと思いませんか?
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