”英語しかできない”残念な人は、遅かれ早かれ居場所が無くなる

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今回は「英語しか出来ない」残念な人の話。

せっかく大金を使って語学留学して英語を身につけても、ビジネススキルが無かったら宝の持ち腐れです。

ビジネスマンにとっての英語はあくまでも”ツール”であって、本来備えているべきビジネススキルがあって初めて”英語”というツールが活きてきます。

言ってみれば、料理出来ない人が切れ味のいい高級包丁を持っていても役に立たないのと同じです。

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英語ができる残念な人

私が今まで出会った英語は出来るけど残念な人ってこんな感じでした。

英語が流暢なダメ社員

私の勤務先が買収されてしばらくすると、親会社から英語の出来る人間が今空いているのでそちらのプロジェクトで使えないか?と打診がありました。

当時私が担当していたプロジェクトでは、海外製チップを採用した新商品を欧州、アジア向けに展開することが決定し、各国の法規制に適合するかどうか調査する必要がありました。

しかも、それと平行してマニュアル類も整備しなければならならず猫の手も借りたいぐらいだったので、その提案は渡りに船でした。

その紹介された人(Aさん)は見た感じ50代のベテラン社員で、聞くと大学時代に交換留学で1年間アメリカに留学経験があるとのこと。本人も今までの部署では自分の英語力を発揮できる環境が無かったので、こちらのプロジェクトに呼んでいただいてよかった、と言うのでこちらの期待も高まります。

早速Aさんにはユーザーズマニュアル(取扱説明書)の作成を担当してもらいました。基幹ネットワーク系の通信機器ですが、そんなに機能がたくさんある機器ではないので、類似機種のマニュアルを参考に書いても10ページにも満たないぐらいかなと予想していました。

ところが、Aさんがで出してきたドラフト(下書き)はなんと全50ページの大作です。

査読してみると、言い回しが冗長でしかもアメリカ英語のイディオムがふんだんにちりばめられています。マニュアルというよりは何か物語っぽい感じです。類似装置のマニュアルを参考に渡していたのにもかかわらず全く見ていないかの如く、です。

さすがにこれでは欧州やアジアの非英語圏には出せません。マニュアルは情緒的で味のある文章よりもストレートな単語で紋切り型に書かれていないと、非ネイティブには理解し辛いからです。

しかしそれを指摘したところ、みるみる内に表情が変わり「じゃあご自分で書いたらいいんじゃないですか?」と不機嫌に。いやいやそういうことじゃなくて、、となだめすかして修正するように指示したところ、出てきた修正版もやっつけ感たっぷりの仕上がりです。

査読している私の表情を察したのか「具体的にどこがどうおかしいのか指摘してくれませんか?その通りに直しますので」と言い出す始末。

このAさん、英語が問題なのではなく、基本的な業務スキルが欠けているのが問題でした。50代にもなって指摘されて拗ねたり、仕事は指示待ちで言われたことしか対応出来ないのですから、そもそもキャリアの割に業務能力が低いです。

今までは社内では英語が出来る人が少なくて、ちょっとした英訳などで重宝されてきたためかプライドだけ成長してしまったような人でした。

バイリンガルな倉庫アルバイト

私は一時期、会社に内緒でダブルワークをやっていた時期がありました。(もう15年以上も前ですが)

とある中小企業の本社兼物流倉庫に管理用データサーバーとネットワークを導入するのに、知り合いのシステム会社から手伝ってくれないかと誘われたのです。

サーバー構築やネットワーク設定など、仕事が終わった後にそこの会社に行って作業していたのですが、物流倉庫自体は24時間トラックが入ってくるため、夜間でも常にアルバイトが10人ぐらいいます。

そこの会社の食堂で休憩しているときに知り合った若いアルバイトは、親の都合で高校卒業するまでカナダにいたそうで、英語はネイティブそのものです。

英語に全く不自由しないのなら、倉庫でアルバイトするよりももっと割のいい仕事があるんじゃないか?と思ったのですが、彼曰く「英語が主言語になってしまって、逆に日本語が出来なくて困っている」のだそうです。

話している感じでは日本語は全くのネイティブで、ケ〇ン・コ〇ギさんのような外国訛りなど全く感じさせません。

しかし彼が言うには、

・難しい漢字が読めない。新聞が読めない。
・未だに服を”着る”、靴下を”履く”、帽子を”被る”の区別に迷う。
 (英語は全て”wear”なので)
・そもそも勉強が嫌い。

で、例えば英訳の仕事をやろうとしても、原文の日本語がわからないので手が付けられなかったそうです。

また具合が悪くて医者に行っても、問診票にひらがなでしか書けなくて恥ずかしい、とも言ってました。

バイリンガルなのは日常会話だけで、それだけでは何の強みにもならなかったのです。

英語が話せることと仕事ができることは全く別のスキル

我々日本人はなぜか英語が出来る人材を見ると一目置いてしまいがちです。ともすれば英語でバリバリ仕事出来るんだ~!と羨望の眼差しで見たりします。

しかし、英語が出来るだけで仕事にありつけるのであればアメリカやオーストラリアに失業者はいないわけで、実際はそんなことありません。むしろ、非英語圏の人間がネイティブスピーカーを押しのけて職を得るケースはよくあります。

アメリカでは専門職ビザH1-bを年間6万5千件発行して、海外の有能な技術者に労働許可を出しています。アメリカの失業率は5%前後(2016/5月時点)ですので、アメリカの人口約3億人の5%、約1,500万人が失業中な訳ですが、この1,500万人はほぼネイティブスピーカーなのに、です。

つまりこれは、英語が堪能な求職中の1,500万人よりも、技術的に秀でた外国人のほうが労働市場では価値があると見られているわけです。

このことからも「英語が出来ること」と「仕事が出来る」ことは全く別のスキルなのです。

必要とされる人材はどっち?

ビジネスにおいて、どちらの人材を採用すべきでしょうか?

  1. 英語はできるが、仕事ができない人
  2. 仕事はできるが、英語ができない人

私の経験から言うと、採用すべき人材は2の「仕事は出来るが、英語ができない人」で、1の「英語はできるが、仕事ができない人」は”残念な人材”です。

なぜなら、2の人には英語を教えればすぐに覚えます。元々仕事が出来る人(スペシャリスト)なので「英語が出来ない」という課題を解決できる力を既に備えています

一方、1の人材は英語しかできません。仕事を覚えて出来るようになるには相当な時間が必要です。しかも、その仕事に向いているかどうかもわかりません。スペシャリストになれるかどうかもわからない人を雇うのはかなりリスキーです。

日本は解雇規制によって単に能力が低いだけでは解雇することができないので、「英語はできるが仕事ができない人」がすぐにクビになることはありません。

しかし一旦会社の業績が悪くなると、解雇の4要件のうちの一つである「人員整理の必要性」が満たされるため、平常時より整理解雇しやすくなります。

そうなると真っ先に切られるのは上記1の「英語はできるが仕事ができない」人なのです。

ビジネスマンは、決して1のような人材にはならないで欲しいと思います。冗談抜きに本当に会社に居場所が無くなります

追記:林先生も同じこと言ってました(笑)

2017/9/24に放送されたTBSの「林先生が驚く初耳学!」で林先生の持論が私と同じでびっくりしました。

番組では、ある有名企業の採用基準を引き合いにして、以下の4つからどの人材を採用すべきかを解説していたのですが、

A:英語ができて、仕事もできる人
B:英語ができて、仕事ができない人
C:英語ができず、仕事はできる人
D:英語ができず、仕事もできない人
引用:林先生が驚く初耳学!

林先生によると、この中でまず採用すべきなのは「A:英語ができて、仕事もできる人」で、次に採用すべきなのは「C:英語ができず、仕事はできる人」でした。

で、その次が「D:英語ができず、仕事もできない人」で、最も採用してはいけない人材が「B:英語ができて、仕事ができない人」と言っています。(私が言っている「残念な人材」ですね)

その理由が

Bの人材は”英語ができる”ことを”仕事ができる”と勘違いして一番使い物にならないから。だったら「自分は何も出来ないんです」というDの人材を鍛えたほうがマシ。
引用:林先生が驚く初耳学!

だったのです。全く同感です。

私は、語学習得のためだけに留学することに否定的なのは「英語しかできない人材」に育ってしまうことを懸念するからなんです。

仮にその英語力で就職戦線を突破したとしても、本来の業務を遂行する思考力や問題解決力が備わっていないと、もともとそういったスキルを持っている人材(上でいうところのCの人材)が後から英語を勉強すればあっという間に追い越されてしまいます。