以前、英語初心者の学習に洋画はあまり役に立たないとお伝えしましたが、映画そのものは好きなので、邦画・洋画を問わずよく見ます。
しかし、私は「洋画の吹替え版」だけはどうしても好きになれません。
洋画は必ず字幕版(subtitled movie)で楽しみます。
それにはいくつか理由があります。
私が洋画の吹替版が嫌いな理由
1.俳優の生の声を聞きたい!
そもそも、俳優の生声を聞きたくないですか?
俳優さんは、動作・表情・間・セリフ回しの技術を磨きに磨いて日々精進しています。
日本でも海外でも、俳優を目指す人達はオーディションを受けては落ちてを繰り返し、やっとつかんだ端役から実績を積んでいきます。
それはクリント・イーストウッドしかり、トム・クルーズしかり。今、ハリウッドで活躍している俳優はみんなそうやって這い上がってきた人達ばかりなわけです。
そんな名優の演技をなんで声優の声で吹替えるんだ、って話ですよ。
演技とは、振りと声(セリフ)の両方が噛みあって初めて成り立つと思います。
2.元のセリフのニュアンスが変わってしまう
吹替え版の声優さんって、アニメ界で活躍している人が多いですよね。多いというよりほとんどですね。
で、この人達の声の演技がやけに「芝居がかっている」ところが問題なんです。原語ではそれほどでも無いのに、吹替えでオーバーにしているのが。
なんか芸能人の食レポのような、オーバーリアクションな感じなんですよ。
トム・ハンクス主演のアポロ13やプライベートライアンの日本語吹替えを聞くと、確かにストーリーは表現していますが、トム・ハンクスが演じている知的な役柄や、リーダーシップが吹替えによって薄っぺらくなっています。
英語を勉強して原語で楽しめるようになってくると、その違いがよくわかります。
それと、女性の吹替えもそう。
例えば、やたら語尾に「~だわ」「~かしら?」みたいな女性語で吹替えられると、いつの時代の話だよ!と思いませんか?
そりゃ、品のいいおばあさんや50代以上の女性にはそんな話し方をする人もいなくもないですが、現代の若い女性でそんな話し方をする人ってほとんどいませんよね?
国内ドラマでも、20~30代なのに女優が「おかしいわね…」なんてセリフを聞くと、「今時、そんな言い方しねーよ」とげんなりしてしまいます。
3.声の高さが違う
俳優の声の高さと吹替え声優の声の高さが結構違うケースが多いです。
特に欧米の女優さんは身長も高く、日本人に比べて大柄なので、声質が低めの女優さんが多いです。それをハイトーンボイスのアニメ声優であてられると、その女優の良さがスポイルされてしまってとても残念なのです。
本来のキャラクターが吹替えで変わってしまうのは、監督や映画制作者の意図に適っていないように思いますが、監督は外国語のニュアンスなんてわかりませんから、そこに対してチェックのしようもありません。
4.役者の息づかいが変な感じになってる
特にサスペンス映画の緊迫したシーンでは、役者の息づかいが重要ですよね。悪党に追われて隠れている時とか、戦場での作戦中とか。
他にも、囁いたときの口の中の唾液の動きすら感じるセリフとか、ちょっとした舌打ちとかは、監督や俳優が意図して作り込んでいるはずです。
それが吹替えになると、省略されてしまったり、いかにもな演技になってしまって、なんかわざとらしい感じになっちゃってるんですね。
作品の中で役者が歌うシーンとかは実際の歌声をそのまま使うと、その後の吹替えとのギャップが気になりますし、吹替えで歌まで吹き替えるのはそれはそれで違和感タップりだし。
監督が映画で表現したいことが吹替えで変な感じに変換しちゃうのは、作者の意図をねじ曲げている感じがします。
日本は識字率が高い国
実は海外では吹替版が作られることが多いのですが、それは識字率が低くて字幕を読めない国が多いからだったりします。
現代の日本の識字率はほぼ100%ですから、わざわざ吹替えする必要は無く、字幕で楽しめる国なんです。
字幕が読めない幼児、小学生低学年向けには吹替えは必要だと思います。ディズニーやピクサーとかね。
また「視覚障害者が楽しむために吹替版は必要」という主張もありますが、現在はスマホで音声ガイドするサービスなどを利用すればわざわざ吹替版を作る必要がありません。
洋画はやっぱり字幕で楽しみたい
やっぱり映画は俳優の肉声での演技を見たいので、吹替えではなく字幕で楽しみたいです。
字幕も、翻訳者が古い人だとやたら語尾が女性語(「~だわ」とか)にしたり、実生活ではあまり使わない「~だぜ」みたいな語尾にして翻訳する人もいますが、吹替えに比べればまだマシな気がします。
それに映画を原語の英語で見れば、定番のイディオムとか言い回しをなんとなく知ることができますから、英語学習者には是非、吹替え版ではなく字幕版で楽しんで欲しいです。
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