英語にも婉曲な表現がある

日本語は直接的な表現もふわっとした表現もできるけど、英語はストレートな言い方しか出来ないんでしょ?と思っていませんか?

いやいや、英語にも婉曲表現はあるのですよ。

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妊婦さん

pregnant

以前、アメリカの部品メーカと取引していたときの話です。

私のカウンターパートが女性のエンジニアで、彼女とはしょっちゅう技術的なQ&Aをしたり私が訪米したときにアテンドしてくれたりと、お互いの気心知れた間柄です。

ある日、その彼女からの電子メールに

P.S.
I’m expecting!

とあったんです。

英語勉強中の私は「ん?彼女は一体何を期待しているの?」と。しかも彼女は人妻なのに(笑)。

当時の私は”expecting“が「妊娠」を表す婉曲表現であることを知りませんでした。

expectといえば「期待する」以外に何があるんだ?って感じでしたからね。(辞書でexpectのところをよーく読めば書いてあるんですが…)

その後しばらくしてから”I’m expecting (to have a baby).”のカッコ内が省略されたことを知りました。

国内学習だとなかなか出会いにくい表現の一つです。

その後ネイティブスピーカーとの付き合いが長くなるに連れ、意外と英語でも婉曲な表現が好まれることがわかってきました。

もちろん、”I’m pregnant!”とズバっという人もいますが、意外と英語圏にはダイレクトな表現を好まない人も多いです。

例えば、

・die(死) →  pass away
・toilet(便所) →  bathroom
・fat(デブ)  →  overweight

このあたりは日本でも同じですね。

ニュースでは「昨夜、俳優の××××さんが心不全で死にました。89歳でした。」とは言わずに「昨夜俳優の××××さんが心不全で亡くなりました。89歳でした。」と言いますよね。

でも英字新聞の見出しだと、”xxxx dead: American Oscar nominated actor who played tough guy dies aged 90.”みたいに、dieやdeadが使われるので、事実として述べるときはdieでも可、って感じでしょうか。

”神”を乱発してはいけない

映画やドラマでよく「オー、マイガー!」(Oh my god!)ってよく耳にしますよね。

英語が出来ない人でもOh my god!が驚いたときに発する言葉であることは知っていると思います。そのぐらい日本では浸透している言葉です。

でも、これって人によって言い方が違うんです。

1. Oh my god !!
2. Oh my goodness !!
3. Oh my gosh !!

敬虔なクリスチャンは2や3の言い方をします。聖書の中に「むやみに神の名を唱えてはならない」と書かれていることに由来するそうです。

経験上、毎週末教会に通っているような敬虔なクリスチャンほど2や3の言い方をし、そこまで信奉していない人は1を使っている感じでしょうか。

以前映画で、神父さんの前でつい”Oh my god!”と言ってバツが悪そうに謝るシーンを見て意味がわからなかったのですが、こういう背景を知って初めて意味がわかりました。

なにはともあれ、クリスチャンでない人が”Oh my god”を連発するのは、敬虔なクリスチャンにしてみればあまり気持ちのいいものではありませんので、その使い方には気をつけましょう。

ポリティカリー・コレクト

婉曲な言い方はしばしばpolitically correct(ポリティカリ・コレクト=PC)と言われます。

1980年代のアメリカから始まった社会的運動で、人種的、性別的、身体的、宗教的な差別が生じないような公正・公平で差別や偏見の無い言葉を推奨しています。

一例では、営業マンを英語ではsalesmanといいますが、man=男なので、性差を無くす言い方として最近は”sales person”と言うようになってきています。

他にも、

・stewardess(スチュワーデス) → cabin attendant
・deaf(耳が聞こえない)、blind(目がみえない) → handicapped person
・Merry Christmast! → Happy holiday!
 (クリスマスはキリスト教の行事なので、他宗教に配慮してハッピーホリディ)

といった感じに、直接的な言い方を避けた表現が増えています。

でも最近は”handicapped”という言い方すら失礼だ!という声もあって、さらに”people with disability”とか”people with special needs”といった言い方に置き換えようという動きがあるようですが、一方では当の障害者はこのことをさほど気にしていない、という日本と同じような話もあるようです。

このあたりは「障害者」を「障がい者」「障碍者」に言い換えようとしている機運と似ていますね。

意外と英語中上級者の中にも「英語とはストレートな表現を好む言語だ」と信じて疑わない人がいますが、

初心者のうちは無理に婉曲表現を使い分けようとしなくても大丈夫ですが「英語にも状況に応じた婉曲な表現がきちんとある」ということを知っておいて損はありません。