よく「日本人はごちゃごちゃ文法とか細かいことばっかりやってるから上達しない。そんなことやってる暇があったら間違ってもいいからどんどん英語を使って体で覚えるべき」という意見があります。
一方では「文法はスポーツで言ったらルールに相当するのだから、まずルールを覚えた上で練習したほうが効率がいい」という考えもあります。
どちらが本当でしょうか?
これはどちらも間違いではなく、方法論の違いだけです。
どっちの方法が自分に向いているか
これは英語を学ぶ方法論の違いをそれぞれの視点から言ってるだけです。
「文法とか理屈をごちゃごちゃこねるより、間違ってもいいからどんどん英語を使った方が上達が早い」と主張する人は、自身の経験からそう主張しています。
私の同僚も、英語がほとんど出来ない上に文法も大っ嫌いでしたが、仕事で英語を話さなければならない環境に追い込まれてから実践で身に付けたタイプです。
この「文法よりも実践タイプ」の人は、文法を覚えられないもしくは覚えるのが苦手なので、実践で間違えながら覚えるほうが向いています。
一方「文法は言語のルールなのでルールを先に学んだほうが効率的」と主張をする人もいます。
母語を獲得した大人が新たに外国語を学ぶには、そのルール(文法)を先に学んだ方が効率的である、というのは私も同感です。中学、高校で一通り文法を学んでいるので、やり直すにも比較的かんたんに取り組めます。
登山に例えてみる
英語学習を登山に例えてみましょう。
ある山に登るのに、AコースとBコースがあるとします。
Aコースは頂上までの距離は最短ですが勾配が急峻で健脚向き。もう一方のBコースは頂上までの距離はAコースの2倍ですが、勾配が緩やかで女性や子供でも楽に登れます。
Aコースで登った人がBコースなんかで登ってちゃダメだ、と批判しても意味がありません。逆も同様ですね。
「頂上まで行く」という目的に対してどのようにして行くかだけなので、答えは「自分に合った方法で行けばよい」です。
お金のある人はポーターを雇って荷物を背負ってもらうかもしれませんし、ヘリコプターをチャーターしていきなり頂上に行ってしまうかもしれません。
そもそも英語を学ぶ方法は一つじゃない
私は、受験勉強で英語をやったときの記憶から、文法から入ったほうが早くやり直せるだろう判断して取り組みました。
実際やっていくうちに昔学習した文法が蘇ってきて、比較的速く高校でやる英文法まで終わることができました。
これは受験生のとき英語に結構時間を使って一度理解していたので、そのことが大きかったのだと思います。
でもその中でもto不定詞や動名詞などは例外的な用法が多くて、文法というルールで覚えようとしてもどうしても覚えられませんでした。
人によっては「こんなの簡単だよ」という人もいますが、私には無理でどうにも頭に入らないのです。(受験生時代と同じでした)
そこで、このto不定詞と動名詞については、パターンを丸暗記して仕事やeメールで積極的に使う「文法より実践」型に切り替えました。
すると実践で間違うと意味が違って取られるし、逆に通じると嬉しくてより記憶に定着するようになって、いままで覚えられなかったto不定詞と動名詞を体で覚えられるようになったのです。
これは先ほどの登山で言うところの、AコースとBコース両方のいいとこ取りしたようなものです。
まとめ
英語サイトで時折見かける
- 文法とか細かいルールにこだわるのが日本人のダメなところ。間違ってもいいからどんどん英語をつかうべき。
という主張は、文法が苦手で且つ、英語を使える環境が身近にある人に向いている方法であって、万人に向いている方法ではありません。
「昔、文法は一通りやったからおさらいすれば思い出せる」というのであれば、文法から入るほうがはるかに効率的ですし、間違ってもいいからどんどん使え、と言っても最低限の文法は必要です。
しかし学生時代のトラウマで文法はどうしても苦手、という人はやこの「文法よりも実践」する方法を併用して苦手な文法を克服するのも手です。
要は、自分に合った方法を組み合わせて取り入れればいいのです。
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