ここのところ連日のように金正男(Kim Jong Nam)の暗殺についてテレビを賑わせていますが、昨日USATODAYを見ていたら面白い単語を見つけたので紹介します。
ruler:支配者
アメリカでも金正男暗殺事件についてはいろいろと報道されていますが、そこは遠く離れた極東の話なので日本ほど過熱しているわけではありません。
そんな中でも、金正男の遺体引き取りで注目されている息子、金漢率(キム・ハンソル)がYoutubeにビデオメッセージを投稿しました。(実際には「千里馬民防衛」という脱北者支援組織?が投稿したようです)
…と、今回はそのビデオメッセージについての話ではなく、それを受けたUSATODAYの記事について紹介したいと思います。
A video of a young man who identifies himself as the son of Kim Jong Nam, the estranged half-brother of North Korea’s ruler who was assassinated with a highly toxic chemical weapon last month in Malaysia, surfaced online Wednesday.
引用:http://www.usatoday.com/story/news/world/2017/03/08/son-assassinated-kim-jong-nam-north-korea-video/98891540/
assassinate=暗殺する、なのでassassinatedで「暗殺された」になります。
映画のタイトルにもなっている「アサシン」はassassinで「暗殺者」ですね。
で、この記事で気になったのは”ruler”。
普通、”ruler”と言えば「定規」のことですよね。
でも上の文脈では
…the estranged half-brother of North Korea’s ruler who was assassinated with a highly toxic chemical weapon last month in Malaysia.
とあるので定規のことではありません。(rulerの後の関係代名詞”who”は人を表すので)
改めて”ruler”を辞書で調べてみると、
2.定規、物差し
とあります。なんとruler=定規は見出しの2番目だったんです。
“the estranged half-brother of North Korea’s ruler”とは「仲違いした北朝鮮支配者の異母兄弟」、つまり金正恩のことを指していたわけです。
“rule”は「決まり、規則」で、その流れから”ruler”は「定規」と覚えていたのでまさか”ruler”に支配者という意味があるとは思いませんでした。
dictatorとrulerの違い
私の中で独裁者と言えば”dictator”だったので、”ruler”にそういう意味があると思わなかったんですね。
“ruler”と”dictator”の違いですが、
・dictator:独裁者
で、なんとなく悪い感じがするのは dictatorです。
英英辞典で調べてみます。
a person who rules or governs.
(支配または統治する人)
・dictator
a ruler who has complete power over country, especially one who has gained it using military force.
(完全な権力を国全体に持っている支配者。特に軍隊を使って得た支配者)
こりゃ完全にdictatorのほうが悪人ですね。
じゃあ”ruler”は中立的かというとそうではなくて、専制的な力の行使を暗示しているので、力で民衆を押さえつけているというイメージがあります。
国や地方を治めるという意味の”govern”は普通に使える単語です(governor:知事)が、ruler, dictatorに連れてネガティブな印象が大きくなります。
と、右に行くほどネガティブです。
まとめ
・”ruler”は”dictator”ほどではないにしろ、専制的なイメージ(ネガティブ)も含んでいる。
個人的には”the estranged half-brother of North Korea’s dictator“のほうが実態に合っていると思うのですが、なぜUSATODAYはruleを使ったのでしょうね?
ちなみに、キム・ハンソクのビデオメッセージで話していた英語は、ほんの少しブリティッシュアクセントがあるそうです。私には全然判りませんでした。まだまだ修行が足りません。(笑)
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