楽天の英語化は失敗だったのか?

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日本企業でグローバル化に対応するというとまず英語が挙げられますが、そうなると必ず「英語化=グローバル化なんて安直すぎる」という議論が必ず起きます。

こういう反論する人は大体、

  • 日本企業が日本で活動するのに英語は必要ない
  • 日本語という美しい言語があるのになぜ英語を強制するのか

という考えの人が多いように思います。

でもこれって、単に自分が英語を勉強するのがイヤなだけのような気がするのです。

どこの会社にも変化を嫌う人達はいるものです。「俺たち今までこのやり方でうまくやってきたのに、何でわざわざ面倒なことを今からやるのだ?」と。

そりゃ誰だって苦しいことはしたくないですからね。

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楽天の社内英語化は失敗したのか?

全社を挙げて社内英語化に取り組んだ楽天ですが、その取り組みはハーバードビジネススクールのケーススタディでも取り上げられました。

楽天が社内公用語を英語にするとぶち上げたときは、内外から賛否両論ありました。日本人だけの会議でも英語を使うなんて意味が無いとか、入社したときの条件に英語は無かったじゃないかとか。

早急に英語化を進めたかったのは、世界市場にスピード感を持って進出するためには優秀な人材を世界から広く採用するしかないと踏んでいたのでしょう。そのためには日本語と言う壁を取り払いたかったのだと思います。

単に掛け声だけじゃなくて、会社に社員が無料で受講出来る英会話教室やTOEIC対策の環境など社内英語化に投資をした結果、楽天のTOEIC平均点が800点を超えました。2010年に社内英語化を宣言してからわずか5年で達成したのは純粋に凄いの一言に尽きます。単体で5,000人以上いる会社でですよ。

一方、2015年12月の決算で海外事業の不振によって8期振りの営業減益となったことを理由に「楽天の英語化は失敗だった」とする意見もネット上にいくつかありますが、いくらなんでもそれは短絡的な見方だと思います。

そもそも、英語でビジネス出来る人材がいなくて海外企業を買収出来なかったのですから、海外事業が不振なのは社内英語化とは別のところに原因があったはずです。(会計基準の違いによる減損処理の扱い方なのでここで詳しくは触れません)

むしろ社内公用語を英語化出来たことで世界から広く人材を集められるようになったことは、評価されるべきだと思います。

実際、楽天のエンジニアの採用者のうち7割は外国人です。国内エンジニアのスキルアップに投資するより、既にスキルを持っている外国人を採用したほうが、時間・コスト共に有利という判断なのでしょう。

社内英語化は老舗企業でも起き得る話

このようなことは楽天やユニクロのような比較的新しい会社だけではなく老舗企業でも起きています。

日産はルノーに買収されてトップが外国人になったときから社内英語化を余儀なくされていますし、ホンハイに買収されたシャープは、経営陣はもとより現場の部課長クラスは間違いなく英語力が要求されるでしょう。

電機業界では、富士通の半導体事業が2013年にスパンシオン社に売却され、更に2015年にそのスパンシオン社がサイプレス社に買収されました。富士通の半導体部門にいた人たちはスパンシオン社に移ったときに上司が外国人になり、英語でのコミュニケーションを要求されたはずです。

20年前には半導体は「産業の米」とまで言われ、当時は「半導体業界に就職すれば一生安泰」とまで言われていた業界ですら、国内市場の縮小には抗えなかったのです。

人口減による国内市場の縮小で英語化は避けられない

日本は今後緩やかに人口減が続いていきます。政府が抜本的な改革をして人口増に転じない限り、国内市場の縮小は必至です。

そうなると既存事業が人口(市場)に対して供給過多になるため、同業他社が合併して組織効率を上げる(スリム化)か、海外市場に打って出るしか生き残れる道がありません。

たとえ同業他社が合併して組織をスリム化しても、国内市場が縮小し続けるのであれば、どこかの時点で業種転換するか新たな市場に向かうしかありません。

そう考えると、遅かれ早かれ英語化の波は日本社会全体にやってくるでしょう。

批判するのは簡単ですが、実際に社内英語化を成し遂げるのは至難の業です。楽天は、今後減少する労働市場で新卒を青田買いする必要が無く、必要な人材を世界中から採用出来るのですから、他の日本企業にくらべアドバンテージがあると言えるでしょう。