間違ってはいないけど微妙な英語を使っていませんか?
例えば街中でかっこいい車を見かけて
(あの車、超カッコイイ!)
と言うところを
(あの車両、超カッコイイ!)
とはあまり言わないです。
“That vehicle is~”と言うと、自動車だけでなく乗り物全体を指しているようなニュアンスがあります。しかも”車両”というとなんだか表現が堅くて新聞記事のようです。
仮に、セグウェイを街中で見て「あの乗り物(セグウェイ)、超カッコイイ!」を”That vehicle is really cool!”というのはOKですが、話者との暗黙的な前提が「乗用車」だと”vehicle”は微妙なわけです。
そんな感じの「間違いではないけど微妙な英語表現」について今回は紹介したいと思います。
spareとreserveの違い
とあるプラントの電気設備の図面で、装置間のケーブル配線で予備配線のことを”spare”と表記する人がいました。
芯数が12本のケーブルで実際に使っているのが8本だった場合、残りの4本を国内図面では「予備」と表記していたんですね。
それをそのまま英語表記で”spare”にしたのだと思いますが、海外現場だと”reserve”と表記する場合が多いです。
“reserve”は「予約」という意味がありますが、予め敷設されているけど使われていないケーブルなどは将来使うかもしれないので”reserve”なんですね。
一方、”spare”は日本語でも「スペア(予備)」ですね。こちらは、交換用部品とか予備部品などで使われます。
車のスペアタイヤは”spare tire”でも通じますが、アメリカだと”temper tire”(テンパー:temporaryの略)という人も多いです。
車のスペアタイヤって実際に履いているタイヤサイズより幅が小さいものが多く、temporary = 間に合わせで”temper tire”(間に合わせタイヤ)というわけです。
予備品としてストックしておくのであれば”spare”でOKですが、配線済みで未使用の場合は”reserve”と表記されるのが多いです。
専用ケーブルはexclusive use cable?
これも私の仕事関連だったのですが「専用ケーブル」を”exclusive use cable”と訳している図面がありました。
最初は「排他的使用ケーブル?」と思いましたが、「専用ケーブル」と言いたかったんですね。
この場合の専用ケーブルは”dedicated cable“のほうが分かりやすいです。
多分「専用ケーブル」をネット翻訳したときに”exclusive cable”と出たのだと思います。
ケーブル種はkind of cable?
とある図面(ケーブルリスト)に”kind of cable”と書いてある欄がありました。
「ケーブルのようなモノ?」と思ったのですが、記載内容から「ケーブル種」のことを指しているようです。
これは素直に”cable type“にすればいいのに。
ちなみにこの図面は私の会社で作成したものではなくて、誰もが知る上場企業が標準で使っている図面です。(汗)
これも恐らく「ケーブル種」を翻訳サイトで翻訳した結果をそのまま使っているのでしょうね。
これにならうと、血液型は”kind of blood”になっちゃいますね。
せめて”type of cable”であればまだよかったんですが。
センサーはsensorだけど…
「火災センサ」「煙センサ」を”fire sensor”, “smoke sensor”と直訳している図面もたまに見かけます。
英語で言うならここは
・煙センサー:smoke detector
がぴったりでしょう。
“fire sensor”でも通じますが、”sensor”というと検出+量を測るイメージがあります。具体的に火量(なんてあるの?)を測るデバイスであれば”fire sensor”でOK。
一方”detector”はあるかないかを検知する、というイメージです。
そのため、センサの目的が火や煙を検出することであれば”detector”のほうがフィットしますね。
ちなみに刑事や探偵のことを英語で”detective”といいますが、手がかりを探す=detectから来ています。
まとめ
今回紹介した例はどれも間違いではありませんし、通じないこともありません。
ただ、一般的に使われている表現と微妙に違うというだけです。
今回このような微妙な英語の例を紹介したのは「こんな微妙な英語は恥ずかしいから気をつけて!」と言いたかったわけではありません。
冒頭の例で挙げたように、carを使うかvehicleを使うかはいくら机上で覚えたとしても最初から使い分けられるものではありません。
むしろ英語をどんどん使わないと、それが微妙な英語なのかどうかがいつまで経っても気づかないものです。
英語を積極的に使っていくうちに、自分の使う英語がネイティブの表現と少し違うぞ?と気づくようになればしめたものです。
そうなれば「僕が書いたこの文章を彼らはどのように表現しているのだろう?」という視点で見れるようになるので、彼らの表現をそっくりパクって次回からメールなり会話なりで使ってみるのです。
そうすることで、「微妙な英語表現」を少しづつ少しづつ減らせるようになります。
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