最近は「日本人の○○はスゴイ!」とか「世界から絶賛される日本人の○○なところ」といったTV番組をよく見かけます。
こういう番組が人気を博すのは、一説には、経済大国の地位を隣国に奪われ、かつ自虐歴史教育で自信を失った日本人の琴線に触れる部分が大きいから、と言われています。
確かに、誰しも自分の国が外国から驚愕されたり羨ましがられたりするのは嬉しいものです。日本人でノーベル賞を受賞すると、同じ日本人ということだけで誇らしくなったりするものです。
しかし、巷でよく聞く”日本人は~~~だ”とか”日本人はすぐ~~~という”というステレオタイプは額面通り受け止めないほうがいいです。
外国人に媚過ぎる日本人
例えば、「日本人は聞き取れないとすぐにpardon?というからネイティブがイライラする」ということを紹介している人がいます。
一通り聞き終わった後にPardon?と言われると、今まで全然聞いて無かったのかよ!?と感じたりするのかもしれません。
他にも、
→ 職務質問されているみたいだ。会う人会う人みんなに言われる。
とか
→ 箸が使えるか?とか正座できますか?とか毎回聞かれる。
とか。
こういうことを聞くと「えっ、そうだったの!? じゃ次からpardon?って言わないようにしなきゃ!」と委縮しちゃいますよね。
そんなことはありません。
出身地や日本の習慣が出来るかどうか聞かれるとイラっとする?
日本に住んでいる外国人に「お箸使えますか?」とか「正座できますか?」とか聞くと、自分が外国人だからできないと決め付けられたと感じて傷ついたり、差別的に感じたりするので、このようなことは聞かないほうがいい、という人がいます。
もうどんだけ外国人に阿ればいいんでしょうかね(笑)。
もちろん、相手が「オハシ、ニガテデス」という回答を期待して「お箸大丈夫?」なんて聞くのはゲスの極みですが、純粋に相手を気遣って聞くのは全く問題ありません。
「日本人は良かれとおもって聞いたことでも、文化が違えばそう受け取らずに差別的に感じる人もいる」という人もいます。
いやいや、そんなこと言ったら何にも聞けないでしょうよ。
100歩譲って相手の国での話しだったら理解できます。相手の文化圏で自分の価値観を前に出すのは場合によっては失礼になる。それは判ります。
でもここは日本です。自分の文化的価値観で質問することになんだかんだ言われるのは、むしろ相手側に問題があると思うんですよ。
私もアメリカ人に「ナイフとフォークは大丈夫か?」と聞かれたときに「何でそんなこと聞くの?」と思いましたが、彼の中途半端な日本の知識では、日本人はチョップスティック以外は使えないと本気で思っていたらしくてそう聞いたのだそうです。
私は「外国人だからできないと決め付けられた」とは思わず、むしろ気遣いから出てきた質問だったと知って嬉しかったですけどね。
我々日本人は、ともすれば外国人の言うことをグローバルスタンダードだと思いがちですが、そんなことはありません。
日本の常識は世界の非常識って本当?
「日本の常識は世界の非常識」とかよく言われますけど、本当に非常識なことはほんの僅かです。
日本人は基本、真面目な民族です。「日本では常識だけど海外ではこうなんだよ」と言われると即座に襟を正そうとする。メディアもそこを狙って「日本の常識は世界の非常識」なんて語呂がいい標語を作るわけです。
私も海外に行くと、アジア人が少ない地域では同じように「どっから来たの?何人?」なんて合う人みんなに言われますし、その国ではポピュラーな食べ物で外国人が苦手そうなもの(日本で言う納豆的な食べ物)を「これ?食べられるか?」なんてそれこそうんざりするぐらい聞かれます。
こういうのはある意味仕方が無いことです。悪気が合って差別されているのであれば抗議すべきですが、悪気が無いことぐらいすぐにわかります。
多分、英語ネイティブもそう思っているのでしょうが、気心許せる日本人にポロっと愚痴を話したら、真に受けて英語学習者に発信してしまったように思います。
こういうことを国内に広めている人は、今まで一生懸命英語を勉強してきて、仕事でもネイティブスピーカーの中である程度結果を残してきた人でしょう。恐らく必死にネイティブに溶け込もうと努力してきた人だと思います。
それ故に思考が完全に外国人になっちゃってるんですね。むしろ「私は大方の日本人とは違うんですよ」と日本人なのに同胞をdisっちゃう。
そういう背景も影響してか、ネイティブとの何気ない会話の中で聞いたことをそのまま伝えてしまっているのが非常に多い。
なので「日本人は○○だ」といったようなステレオタイプは、そのまま信じるのではなく、一旦自分のフィルタを通して「本当にそうなのだろうか?」と疑ってみるべきなのです。
そう考えると、初めて会う外国人に出身国や出身地を聞くのはなんら失礼では無いと思うのです。
仕事で会った人に挨拶早々にいきなり出身地を聞くのはさすがに躊躇しますが、ミーティングが終わった後の雑談で聞く分には全く問題ありませんし、むしろそこを聞かずしてどうすんの?と思いますね。(出身以外のネタで話を拡げられるのであれば無理に聞くこともありませんが)
立て続けに質問すると職務質問のように感じる、というのも、むしろあなたのことを知りたがっていることの裏返しだと思えば、そうイライラすることも無いと思うのです。
あまり委縮せずに、聞きたいことは聞けばいい
相手のことにあまりにも過度に配慮しすぎると、しゃべっていいことなんか無くなってしまいます。
英語の初心者が上のようなエピソードを聞いたらまず間違いなく萎縮するでしょうし、話せなくなってしまいます。
私は、聞きたいことがあればストレートに聞いていいと思います。ただし「それを日本で聞いても失礼ではないか?」は事前に考えてから聞くのがいいと思います。
例えば、会ったばかりの女性に年齢を尋ねるのは日本でもNGです。いくら興味があったとしても(笑)。そういうことは英語でも遠慮すべきです。
しかし、出身地や来日した理由を尋ねるのは全然問題ありません。質問することに萎縮して会話が続かなくなるよりはずっといいと思います。
一つアドバイスするとしたら、出身国や出身地を聞いたらそれで終わるのではなく、その内容で会話を膨らましてあげるのがポイントです。
例えば、聞いた出身地がかつて旅行したことがある土地であれば「そこは以前、一度行ったことがあります」と言えば食いつかない相手はいません。
逆にそれが全然馴染みの無い国だとしても、著名な観光地(scenic places, scenic spot)はどんなところがありますか?とか有名な食べ物(popular food)はどんなものがありますか?と話を拡げることで、相手も喜んで話すと思います。人は興味を持ってくれる人に話すのは楽しいですから。
ダメなのは聞きっぱなしでスルーしてしまうこと。相手は社交儀礼的に出身地を聞かれたんだな、と思ってしまいます。恐らく前述の愚痴った外国人もそういう経験があったからではないでしょうか?
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