TOEICやTOEFLで長文を読むのが遅くて時間内に終わらないとか、英文マニュアルや英文資料を読んでも一度に頭に入らなくて、何度も読み返してようやく意味を理解できた、なんてことはありませんか?
これは基本的に英文読解力が不足しているからなのですが、では英文読解力を上げるにはひたすら大量の英文を読み込むしか方法は無いのでしょうか?
実は読解力を上げるにはコツがあります。
英語読解力を養うにはスラッシュリーディングが効果的
英文を読むのに時間がかかる人は、頭のなかで文を和訳しているために読むのに時間がかかっています。
例えば、
という英文は、頭から読むと
になりますが、正しい日本語に並び替えると
になります。
英文を読むときは自分で理解すればいいので、(1)の形で文意が判れば、わざわざ(2)の形にまできれいに整える必要はありません。
つまり英文を読むのに時間がかかる原因の一つは、(1)から(2)の状態にする時間がかかっているからです。
なぜそうなるのか?
英語と日本語では文法が違うために、英文を読むときに無意識に日本語の語順で理解しようとしてしまうからなんです。もう脳がそうさせてしまうんですね。
実は日本語を学習する外国人も、初めは日本語を母国語の語順で理解しようとするため読むのに時間がかかります。
母国語の語順で理解することに慣れ切っている脳を、英語の語順で理解出来るようにするために大量の英文読み込みが必要です。
しかし、何も考えずに大量の英文を読み込むよりも英文を意味のかたまりで区切って読むように意識すると、効果的に英語脳を作ることができるのです。
その方法がスラッシュリーディングです。
スラッシュリーティングのやり方
スラッシュリーディングは英文を意味のかたまりをスラッシュ(”/”)で区切っていきます。ただそれだけです。
ちょっとやってみましょう。
Donald Trump, sweeping to victory as the 45th president of the United States in a bitterly fought campaign that defied the polls, pledged Thursday to “be a president for all Americans.”
引用:http://www.usatoday.com/story/news/politics/elections/2016/2016/11/08/trump-clinton-target-social-media-swing-states-final-hours/93494872/
上の新聞記事を例に説明しますね。
文意の固まりごとにスラッシュをこんな感じで入れていきます。
Donald Trump,/ sweeping to victory/ as the 45th president of the United States/ in a bitterly fought campaign/ that defied the polls,/ pledged Thursday to/ “be a president for all Americans.”
これを日本語にすると、
ドナルド・トランプは/ 圧勝した/ 第45代アメリカ大統領として/ ひどい選挙戦で/ 世論調査に反して/ 木曜日に誓った/ 全てのアメリカ人のための大統領になる
になります。
ここまでわかれば、あとは日本語の語順に並び替えなくても意味がわかりますよね。
これが英文を頭から読むということなんです。文意の固まりをスラッシュで区切ることで、ブロックごとに意味を捉える練習です。
最初は日本語と語順が違うので頭に入りづらいですが、スラッシュリーディングを繰り返していくうちに英語の語順で文章を理解出来るようになってきます。
スラッシュはそのタイミングを掴む道具として使うだけです。
スラッシュの入れる場所は?
スラッシュを入れる場所は、
・前置詞の前
・関係代名詞、関係副詞の前
・接続詞の前
・形容詞の前
なんですけど、、、、これ覚える気失せますよね?
英文読んでる最中に「えーと、これは前置詞だっけ?冠詞だっけ?」とか「あれ?これは関係代名詞?関係副詞?」なんてやっている暇無いですよね?
そもそも「スラッシュリーディングとはこうしなければならない」という厳格な決まりはありませんので、なんとなく「これが文意のカタマリかなぁ?」と思うところでズバっとスラッシュを入れていけばいいです。
例えば、
にスラッシュを入れると
The worst pests/ I have ever encountered/ were mosquitoes.
です。
前置詞だの関係詞だの深く考えずに、ただ意味の固まりだけを見てスラッシュを入れました。こんな感じでいいんです。
だんだん慣れてくるとスラッシュを入れる位置がわかってきますし、やっていくうちにスラッシュを入れなくても文意が取れるようになってきます。(スラッシュの位置が間違っていたからと言って、誰に叱られるわけでもありませんので)
私も最初、このルールをきちっと守ってスラッシュを入れていたのですが、イディオム(慣用句)に入っている前置詞をスラッシュで思いっきりぶった切ってしまい、しばらく意味がわからなかったことがあります。
なので「必ず前置詞の前で区切る」ということではなく、あくまでも「文意で」区切ることを心がけてください。
スラッシュは文型の句ごとに入れるようにイメージするとわかりやすいです。
少しだけ文型を意識する
スラッシュリーディングでスラッシュを入れる位置は、やっていくとわかりますが「文の要素」ごとに区切っていると思います。
「文の要素」って覚えていますか?
文型を学習するときにやった、S(主語)、V(述語動詞)、O(目的語)、C(補語)とM(修飾語)のことです。
スラッシュリーディングをする際、スラッシュで切ったブロックが、文の要素の何に相当するのか?を少しだけ意識して読むようにします。
そうすることで、文型が分かりますので、長い文章でもおおよそどんなことを言っているのか意味を取りやすくなります。
文型はたった5つしかありません。
SはVする i.e. He runs.
・第2文型:SVC
S=Cである i.e. He is a runner.(He = runner)
・第3文型:SVO
SがOをVする i.e He ate an apple.
・第4文型:SVOO
SはOにOをVする i.e. He gave her a necklace.
・第5文型:SVOC
SはOをCにVする i.e. That news made me happy.
覚えていたでしょうか?
ここでは文型の詳しい説明はしませんが、どんなに複雑で長い英文でも、ほとんどの文はこの5つの文型にあてはまるので、文型を知っていると文章を読み解くのに非常に便利です。
つまりスラッシュリーディングとは、文の要素ごとに読んでいくことなのです。
第5文型のSVOCは、日本語順にすれば「SはOをCにVする」ですが、これをS+V+O+Cの順番で戻ることなく理解できれば、英語脳がかなりできていると思います。
スラッシュリーディングのメリット
スラッシュリーディングのメリットは、
・英文を正確に理解出来るようになる。
・長い文章でも意味を理解できるようになる。
・読むスピードが上がる。
・(頭から読めるようになると)英語の語順が身に付くのでリスニング力も向上する。
特に、リーディングスピードが速くなると、英文マニュアルや仕様書を読むのがさほど苦にならなくなるので、仕事の効率が数段アップします。
私は仕事柄、半導体デバイスのマニュアルを見ることが頻繁にありますが、ちょっと高性能なCPUのマニュアルだとPDFファイルで5000ページぐらいのボリュームがあったりします。
以前は長文を読むのが苦手だったのでマニュアルを見たり英文資料を調べるのが億劫でしたが、スラッシュリーディングで頭から英文が読めるようになると前ほど調べ物が苦にならなくなりました。
またリーディングスピードが上がると、TOEICのPart7(長文読解)に使う時間も短くなり、時間内に全問解けるようになりました。スコアがぐっと上がったのもこの時期だったと思います。
TOEICが時間内に終わらない人は十中八九リーディングスピードが遅いので、スラッシュリーディングの練習は特にオススメです。
まとめ
スラッシュリーディングは、長文読解力を鍛えるのに非常に有効な方法です。
スラッシュリーディングを練習するときのポイントは、
・文意の固まり(文の要素)毎にスラッシュを入れる
・スラッシュの入れる位置に細かくこだわらない。
ということを意識してください。
要は、日本語語順で理解しようとする脳を、英語語順で理解する脳に切り替えてあげるイメージでやってみてください。
このトレーニングは読解力アップにかなり効きますよ。
もちろん、単語力(語彙力)が伴わないと語句の固まり自体がわからないので、スラッシュリーディングの練習と平行して語彙強化(ボキャブラリ強化)も忘れずに。
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