海外メーカーや海外工場とやりとりするとき、「寸法」や「公差」といった表現を使うケースが出てくると思いますが、これらの単語は工学系の専門用語に近いため、一般の辞書で調べてもぴったりとくる単語を見つけるのが難しいと思います。
「寸法」や「公差」に対応する英単語なんて、エンジニアの中でも頻繁に海外とやりとりする人じゃないとなかなか使いませんから、これから海外ビジネスに入る人は知らなくて当然かもしれません。
寸法は”dimension”
「寸法」をgoogle翻訳に入れると”size”と出てきます。
これはこれで間違いではありませんが、日本語でいう「寸法」の語感が足りないですね。
weblio辞書では、2番目に「【形式ばった表現】dimensions」と出てきます。
設計現場ではまさにこの「形式ばった表現」である”dimension”を使います。
The dimension of this carton box is 1500mm by 1500mm by 1000mm.
(この梱包箱の寸法は1500ミリ x 1500ミリ x 1000ミリです)
製品検査などで規定寸法から外れる「寸法不良」は”dimensional error”と言います。
ちなみに発音ですが、北米では「ディメンジョン」、イギリスやヨーロッパ圏では「ダイメンジョン」と発音することが多いです。
公差は”tolerance”
公差は”tolerance”(トレランス)と言います。
google翻訳でも”tolerance”と出ますが、間違って「交差」と入れると”intersection”になってしまうので注意してください。
公差は”tolerance”、交差は”intersection”で当然ながら両者は全く意味が異なります。
ちなみに許容誤差も”tolerance”です。
「許容誤差」をgoogle翻訳にかけると、”allowable error”と吐き出してくれます。
直訳で、許容=allow + able、誤差=error、なのでしょう。
“error”(誤差)が”allowable”(許容できる)なので意味は通じなくも無いですが、部品などの許容誤差は”tolerance”のほうがしっくりきます。
機械系では「はめ合い公差」のことは”fit tolerance”と言います。
fitは「適当な、ふさわしい」という意味なのでfit toleranceは「ぴったりはまる」というニュアンスです。
電気系だと、抵抗の許容誤差のことは”resistance tolerance”です。
R125 of chip resister can be adopted 5% tolerance.
(R125のチップ抵抗には誤差5%のものが使えます)
toleranceの別の意味
“tolerance”には公差という意味の他に、「我慢、耐性」という意味もあります。
そこから、システムの耐故障性のことを”fault tolerance”と言います。
全ての機械は必ず故障する、という前提の元に安全を確保する考え方にフェイルセーフ(fail safe)とフォールトトレランス(fault tolerant)という考え方があります。
エンジニアの中でもこの2つを混同される人が多いです。
フェイルセーフ(fail safe)とフォールトトレランス(fault tolerance)の違い
フェイルセーフとは機械が故障しても最低限安全を確保する考え方です。
例えば電車の運行システムが故障した場合、その路線の運転を停止することで旅客輸送という目的は失われてしまいますが乗客の安全は確保されます。
また、部品が壊れても暴走せずに安全に停止することで、その後の仕事はできなくなりますが機械の操作者の安全が確保されます。
これがフェイルセーフの考え方です。
一方、フォールトトレランス(fault tolerance)は、部品や装置が壊れても安全を確保しながら運転を継続させる考え方です。
電車の運行システムの例でいえば、万が一運行システムが故障しても、予備系の運行システムに切り替えることで乗客の安全を確保しながら旅客輸送を継続することができます。耐故障性ともいいますね。
これがフォールトトレランスの考え方です。
フェイルセーフは使用者の安全を確保することを第一に考え、運転停止による機会損失は二の次です。
フォールトトレランスは使用者の安全を確保しつつ、機会損失も最低限になるようにシステムを考えます。フォールトトレランス設計ともいいます。
これらは相反するものではなく、実際にはフェイルセーフ、フォールトトレランス、2つの考え方を使って装置やシステムを設計するのが一般的です。
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