通勤時や移動するときの隙間時間は、長距離であればじっくりと英文法をやるのもいいのですが、2~3駅程度の移動であれば、語彙力(単語)強化に時間を使ったほうが効果的です。
今回はそんなちょっとした隙間時間を有効に使えるスマホアプリ”mikan TOEIC”(\720)を紹介します。
英単語アプリmikan TOECとは
簡単に言うと「英単語暗記アプリ」なのですが、いわゆる「フラッシュカード」を単にスマホアプリにしたようなものとは一線を画すアプリです。
私がごちゃごちゃ説明するよりも”mikan”の「効果的な学習方法」の説明がこのアプリの特徴を端的に表していましたので引用します。
まず、mikanというアプリはそもそも以下のような人に向いています。
- 単語以外はほぼ完璧で、あとは専門単語とかだけ効率的に覚えたいという人
- 文法や会話以前に、そもそも基礎の単語がわからなさすぎて何が何だかわからない人
mikanはアプリの性質上、Speakingやwritingなどのアウトプット用というよりはReading, Listeningのためのインプット用です。
TOEICに向けて「本当に何から手を付けていいのかわからない!」という人がいきなりTOEICの解説書から始めても、それまで学習習慣が無かった人だと最初の文法用語で挫折してしまうケースが少なくありません。
英語学習をサポートしてくれる人が身近にいればいいのですが、そういった知り合いもいないと尚更挫折してしまう可能性が高くなります。
このmikan TOEICは、TOEIC向けの単語学習をゲーム感覚で進められるので、TOEIC用の学習を始める取っ掛かりとしては極めてハードルが低いです。
このmikan TOEICは単語暗記に特化したアプリなので、Part5やPart6対策として文法力を強化したいとかスピーキングを強化したい人には向いていません。
mikan TOEICは高機能なフラッシュカード
実は当サイトでは「フラッシュカードは使うな」と以前から言ってる通り、英単語を暗記するのにフラッシュカードを使うことはオススメしていません。
その理由は、単語の意味を覚えていることと英語を使いこなすことは別の能力だからです。
そういう意味ではこの単語アプリmikanは、フラッシュカードのスマホ版のようなものなのであまり期待せずに使ってみたのですが、これが意外と学習効果があってびっくりしました。
そんな単語アプリmikanの特徴ですが、
学習者の能力に合わせてレベル分けされている
このアプリは、TOEICのスコアによってレベル分けされています。
アプリの「学習カテゴリ」の選択で、400点レベル/500点レベル/600点レベルの3つの中から学習レベルを選択できます。
英語の初心者でこれからTOEICを受けるという人は400点レベルから始めるといいですし、既に600点以上の実力がある人は、この上位アプリである”mikan TOEIC上級”(\720)を使うと700点レベル/800点レベル/900点レベルの学習を選択できます。
800点レベル、900点レベルになると、知ってるようで知らない単語とか意味があやふやな単語をこれでもかというぐらいに攻められるのでかなりムズいです。
単語の発音が同時に流れる
このアプリは単なるフラッシュカードではなく、ネイティブが発音する音声も付いています。
そのため、単語を暗記するときに正しい発音イメージもインプットされるのでリスニングのトレーニングも同時に出来ることになります。
ぜひイヤホンも同時に使って欲しいのと、できればシャドーイング(ネイティブの発音のあとにすぐに真似して口ずさむ)も同時にやると効果が倍増します。
というのも、フラッシュカードであれば「単語を目で見る」→「意味を思い出す」という確認しかできないものが、mikanを使ってシャドーイングすることで、
・自分で発音する
という2つの行為が加わるので、より記憶に定着する機会を増やせるのです。
実際、電車の中で大声でシャドーイングするのはなかなか勇気が必要ですが、小声でぼそぼそとシャドーイングする分には周囲の人もさほど気にしません。多少アブナイ人と思われる程度です。
出題された単語の意味をアプリからそのまま調べられる
10問1セットで単語の意味を4択の中から選んでいきますが、間違えた単語を後からチェックすることができます。
例えば、上のチェック画面で”designate”という単語の使い方を調べようとした場合、左側の赤丸で囲った「例文」をタップすると、weblio辞書に一発で飛んでいくようになっています。
この連携が無いアプリだと、いちいちブラウザを立ち上げて調べたい単語を入力して検索実行、といった手間がかかってしまうため、つい調べるのが億劫になってしまいます。
そのため、単語の意味は知っていても使い方がよくわからない単語は、このページから1タップで例文を調べられるので超便利です。
単語暗記をゲーム感覚で楽しめる
1つの単語につき解答選択肢が4つあって、その中から正答を1つだけ選んでいきます。
単語の意味は考えてわかるものではありません。知っているか知らないかだけなので、テンポよくポンポン進めていくのが効率の良い覚え方ですが、正答が続くと「現在〇〇問、連続正解中」と右上に表示されるので、正答が連続すると結構緊張してきます。(笑
学習者の弱そうなところを突いてくる
私もそうなのですが、見出し語の1番目の意味は大体知っているけど、2番目3番目となるとあやふやな場合が多いです。
例えば、mikan TOEICの600点レベルの学習で出てくる”post”という単語は、ほとんどの人は「郵便」とか「投函する」「役職」といった意味を想像すると思いますが、mikanでは「発表する」が正答になっています。
確かに米語では”post”は「発表する、公表する」という意味でよく使われますし、学習レベルがあまり高くない人にとっては厳しいコースを突いていると思います。
他にもmikan TOEIC上級の700点レベルでは”attribute”という単語が出てきますが「~のせいにする」が正答になっています。
TOEICの長文などではしばしばこのattributeが動詞として出てきます。
名詞の「属性・特性」しか知らないと、動詞のattributeが出てくると途端に文の意味がとれなくなってしまいます。
この単語は我々のような非ネイティブが動詞として使う機会はほとんど無いので、多くの人は名詞の「属性・特性」という意味しか押さえていないと思います。
attributeにぴったり当てはまる日本語が無いのもこの単語の理解を妨げる要因の一つですが、このような単語をこのアプリではたくさんカバーしており、英語学習者がつまづきそうなポイントや弱い部分をかなり考えて作り込まれたアプリだと思います。
間違えた単語を重点的に確認できる
学習中のランクで間違った単語は「苦手な単語」として蓄積されていき、その単語を重点的にフラッシュ(確認)することができます。
書籍だと、覚えられない単語は自分でチェックして後からピックアップするしかありませんが、mikanはそれを全て自動でやってくれるので、こういった点はスマホアプリが有利ですね。
進捗がわかりやすい
学習レベルの設定画面を見ると、各学習レベルでの進捗状況がグラフで表示されるため、学習進度が一目瞭然です。
英語学習ではマイルストーン(到達目標)が見えないと、途中で挫折しやすくなりますから、進捗が一目でわかるのはモチベーションを維持しやすいと思います。
またアプリのプッシュ通知を許可しておくと、サボったときには通知が来るのでいい意味で学習者のお尻を叩いてくれるのもいいですね。
少し残念なところ
全般的にかなりよく出来ている単語アプリですが、使っていくうちにちょっと残念な部分もあります。
わからない単語が4個以上あると覚えづらくなる
mikanは単語を10語単位でフラッシュしていきます。10語ワンセット。
10語のうち、間違えた単語が2~3語であればチェック画面で間違えた単語をチェック→暗記することができますが、間違えた単語が5個以上になると、チェック画面だけでは単語を覚えきれないくなるんです。
で、ここは例文と一緒にイメージしながら記憶したいところですが、例文を見るには「例文ボタン」をタップして、weblio辞書の例文ページを読み込まなければなりません。(要ネット接続)
DUO3.0やキクタンは初めから例文とセットになっており、単語の意味自体を覚えていなくても例文から思い出すことが出来るんですね。
なんと言うか、私は無機質な単語をランダムに覚えるよりは、例文のイメージの中で覚えたほうが記憶に刻みやすいんですね。
それと、weblio辞書の例文ページに行ったときに、mikanで示していた訳の使い方をしている例文が無かったりします。
そのため、個人的には、weblio辞書の例文とリンクするよりは、アプリの中に簡単な例文が収録されているとより使いやすいと思います。(大変だとは思いますが)
総評
私は今までキクタンやDUO3.0を使って語彙を強化してきました。それは無機質な単語をただひたすら暗記するよりは、例文とセットで覚えたほうが暗記しやすかったからです。
しかし例文を読むには基礎英語力が必要であり、文法をやらなければならない時点で挫折してしまう初学者も少なくありません。
語学学習で一番大事なのは地頭の良さでも要領の良さでもなく、学習を継続することです。
mikanのようなゲーム感覚で入れる単語アプリは初学者にとって習慣化しやすいですし、進捗が分かりやすいのは学習の継続につながります。
また、キクタンのAdvanced6000やDUO3.0をある程度こなした人でも、mikan TOEIC上級の800点レベル、900点レベルはかなり悶絶するでしょう。
定価720円ですが、たまにキャンペーンで400円ぐらいになったりするので、そういったときはすかさずインストールしましょう。
というか内容からすれば720円でも安いです。TOEICスコアを上げたい人が「スラング辞典」みたいな本を買うお金があるのであれば、こちらに投資したほうが絶対身になります。
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