英語はとかく中途半端な単位が好きな言語です。
例えば1ダース(dozen)は12個、1フィートは12インチと、10ではなく12で1ユニットです。
これは、かつてメソポタミアで天体の動きから1年の長さが決められ、月の動きから1ヶ月の長さが決められたことに由来します。
月の動きを1年に当てはめて暦が作られたため、1年=12ヶ月という形が出来上がりました。
これがギリシャ、ローマからヨーロッパに伝わり、文化と共に12進数が伝わったと言われています。
このような背景から、英語ではdozen = 12、 feet = 12 inchesという区切りになっています。
数字に明るい人はなんとなくわかると思いますが、10よりも12のほうが日常生活で使いやすい単位です。
10の約数は2と5だけです。しかし12の約数は2、3、4、6と10の約数の倍もあります。
約数が多いということは、分割しやすいので商売や流通に使いやすかったのでしょう。
他にもある、中途半端な単位
自転車、自動車
皆さんの乗っている自転車のタイヤに「26×1 3/8」とか書いてありませんか?
これは、タイヤサイズが26インチ、タイヤ幅が1+3/8インチ=約35mm、という意味です。
インチはそのままでは大きい(1インチ=25.4mm)ので、よく3/8インチ、5/8インチなど分数で表記される場合があります。
1/10単位じゃなくて1/8単位というのも半端ですね。多分1インチの1/8が約3mmなのでそのほうが使いやすかったのでしょう。(1/10でも2.54mmなのであまり変わらない気もしますが…)
そういえば自動車のタイヤサイズも未だにインチですね。
日常的にヤード・ポンド法を使っている国はアメリカぐらいなものですが、こうしてみると意外と私たちの生活の中にもヤード・ポンド法が残っています。
アメリカの液量
アメリカの液量の単位もややこしいので下に整理しておきます。
- 1 ounce(oz) = 29.57ml(米液量オンス)
- 1 ounce(oz) = 28.41ml(英液量オンス)
- 1 pint(pt) = 16 oz(米液量オンス) = 0.473L
- 1 quart(qt) = 2 pt = 32 oz(米液量オンス)
- 1 gallon(gal) = 4 qt = 3.785L
- 1 barrel = 42 gal = 158.98L
もちろん、暗記する必要は全くありません。こんなのがあるんだ、程度の認識でOKです。
こうしてみると、12という区切り以外にも、4、8、16という数字もよく見かけます。
日本の尺貫法
対して、以前日本で使っていた尺貫法の液量単位は10進法です。
- 1合 = 10勺 = 180.39ml
- 1升 = 10合 = 1.8039L
- 1斗 = 10升 = 18.039L
- 1石 = 10斗 = 180.39L
綺麗に10で分かれていますね。
一方、同じ尺貫法でも長さの単位になると60進法が垣間見えます。
- 1寸 = 30.3mm
- 1尺 = 10寸 = 0.303m
- 1間 = 6尺 = 1.818m
- 1町 = 60間 = 360尺 = 109m
- 1里 = 36町 = 3924m ≒ 4km
個人的には1里=4kmというのは少し大き過ぎて使いづらかったんじゃないかと思っていました。
しかし、昔の庶民の移動手段は歩くしかなかったわけで、今の人よりずっと健脚だったことを考えれば1里=4kmというのは生活に合っていたんでしょうね。
ダースは人間にも使う
実はdozenは物だけじゃなくて人間にも使えます。
例えば、「たくさんの人」は”dozen of people”と言いますし、”More than 2 dozen people dead in disaster”といえば「24人以上の人が災害で亡くなった」になります。
日本語だと「24人以上」と言うのはなんか変ですが、英語で扱うdozenという単位が12を示すのであえて和訳するとこうなります。
日本でダースはモノ以外には一般的には使われません。
「1チーム半ダースでチームを作って左右に分かれてください」なんて言ったら、人をモノ扱いするな!と怒る人がいるかもしれません。
しかし英語では人、動物などあらゆるものに使ってOKです。
ニュースや新聞にも頻繁に出てきますので、頭の片隅に入れておくとよいでしょう。
こうしてみると、英語は10進数よりも12進数、60進数との親和性が高いです。
そのせいなのか、英語には日本語に無いquarter(1/4、25セント硬貨)という単位も根付いたのでしょうね。
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