英語学習を進めていくと、文中に出てくる単語は全部知っているけど文章としての意味がわからない、というときはありませんか?
その原因は「多義語の意味を全部押さえていないから」です。
fuelは”燃料”という意味だけではない
以前、USA Today紙に
という見出しがありました。
単語を見てみると、Drug abuse(薬物乱用)、fuels(燃料)、rise(~が上がる)、hep.B(= hepatitis B:B型肝炎)、states(州)です。
この中で聞きなれない単語はhep. Bでしょうか。
英語で肝臓はliverですが肝炎はhepatitis。ギリシャ語で肝臓=heparに由来します。新聞の見出しではよく略語が使われます。
こうして見ると、一つ一つの単語は知っているものの文章としてみると「3つの州で薬物乱用がB型肝炎の燃料になる」?と、意味の通らない文章になってしまいます。
勘のいい人であれば、薬物乱用がB型肝炎の燃料になる、”燃料”→燃える→加速・促進する、とイメージして、”薬物乱用がB型肝炎を促進する”と理解出来るかもしれません。
fuelには名詞の「燃料」という意味の他に、動詞になると「(燃料を)供給する」とか、「(感情・議論などを)刺激する、あおる」という意味もあります。この文はfuelを「あおる」と考えると文意が通りますね。
「3つの州で、薬物乱用はB型肝炎のリスクを上げる(煽る)」
つまりこの例で言えば”fuel”という単語の意味をどこまで知っているかがこの見出し文を理解できるかどうかのキーだったわけです。
※”in 3 states”は記事本文でKentucky, Tennessee, West Virginiaの3州のことを指していました。
単語は知っているけど文章になると意味がわからない、ということはどういうことか?
この原因は、以下の3つの要因が考えられます。
- 単語の理解不足(多義語)
- イディオムの理解不足
- 文型の理解不足
それぞれ説明していきます。
1.単語の理解不足
“fuel”という単語は「燃料」という名詞のイメージが強く、それ以外の意味について知らない人が多いのではないでしょうか。(私がそうでした)
というより”fuel = 燃料”以外の英文に出会う機会が無かった、といった方が正しいかもしれません。意外とそういう単語は多いものです。
もう少し例を挙げて説明しましょう。
以前、ヒラリー・クリントンが大統領選に出馬表明したときのコメントです。
“I’m running for president.”は「私は大統領のために走る」ではなく「私は大統領選に立候補する」です。runもforもpresidentも知っているのに、この文章はrun forというイディオムを知らないと文意を取ることができません。
次に
これも、決してヒラリーがアメリカのチャンピオンになりたくてこう言ったのではありません。
championと言えば「優勝者」のイメージがあまりにも強すぎて他の意味を思いつかないかもしれませんが、実は「擁護者」という意味もあるのです。
つまりこの文は「アメリカ人は(弱った国を立て直す)擁護者を必要としている、そして私はその擁護者になりたい」とヒラリーは言ってる訳です。
私たち国内学習者にとっては、今まで外来語の”チャンピオン”(champion)をわざわざ辞書で引くことはなかったと思います。「チャンピオン=勝者」以外の意味があるとは思わないからです。
多義語(一つの単語で複数の意味を持つ語)の意味を理解すればするほど、上記のような勘違い(意味違い)が少なくなります。
2.イディオムの理解不足
例えばcatch upは”追いつく”という有名なイディオムですよね。
“catch”と”up”の意味を個別に知っていたとしても、イディオムとしての意味を知らなかったら”catch up”が含まれている文章を理解することができません。
catch up(追いつく)やtake over(引き継ぐ)などはなんとなく意味が想像出来るかもしれませんが、例えば”pull over”だったらどうでしょうか?
こうなると、そのイディオムを知っているかどうかだけの話です。pullとoverからいくら想像しても本来の意味は思いつきません。(pull over:止まる。馬車を止めるのに手綱を引いたことに由来)
イディオムの語彙を増やすには、英文を読みまくるしかありません。そして片っ端から辞書を引いて数多くのイディオムに出会うことで語彙を増やしていきます。
最初から英字新聞を読むのはハードルが高いと思いますので、その場合はキクタンやDUO3.0などの単語帳を使って覚えるのがよいでしょう。
市販の単語帳は学習レベルによって頻出する単語、イディオムがまとめられているので、こういった市販の単語帳をつかって強化していくと効率がいいです。
3.文型の理解不足
単語は全て知っているのに何を言っている文章なのかわからない、というときは文の構成を理解していないことが考えられます。
文型とは英語の構文を第1文型から第5文型の5つに分類したものです。覚えてますか?
SVとかSVOとかSVCとかSVOOとかSVOCとかいう例のヤツです。
いかにも学問的で初学者は避けたくなる文法パートですが、実はこの文型を理解すると文章を読むのが格段に楽になります。
すべての英文は第1文型から第5文型のいずれかの形に分類できます。どんなに長い文章でも、どんなに難しくて回りくどい文章でも第1~第5文型のいずれかに必ず分類できます。
これって凄くないですか?
言い換えれば、この5つの文型をしっかり理解しておけば、どんなに長い文章だろうがどんなに回りくどい文章だろうが読み解けるのです。
もし文型をカチっと覚えていないと思ったら、これを機会におさらいしましょう。
たったの5つです。これで全ての英文の構成がわかると思えばやる気になりませんか?
まとめ
単語の意味は知っているけど文の意味がわからない、というときは次の3つを意識してみてください。
→ ほかの意味があるかどうか調べてみる。
→ イディオムを今一度チェックする。(動詞+前置詞の形が多いです)
→ 長い文章でも、文型で見てみると意外に簡単な文章であることが多いです。
普段、当たり前と思っている単語にも意外な意味を持っている場合があります。外来語で半ば日本語化している単語ですら知らない意味を持っている場合があるんだよ、ということを頭の片隅に置いて欲しいと思って書きました。
「単語の意味は知っているけど文の意味がわからない」というときは、この内容を思い出してみてください。
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