海外出張のコストが高かった時代は、「英語が出来る人間に海外出張させる」というような雰囲気がありましたが、今は航空チケット代が安くなったせいか割と簡単に「君、ちょっと行ってきて」と言われるようになってきました。
急に海外出張と言われても、学生のときから英語なんか対してやっていなかったのだから、何から手をつけたらよいのかわからないのではないでしょうか。
そんな人へ、海外出張の前にこれをやっておけばなんとかなる、というアドバイスを挙げておきましたので参考にしてみてください。
まず最初にやるべき3つのこと
来週、海外のベンダに言って来いって言われた!とか来月、赴任することになっちゃった!というときに、文法学習や単語をコツコツと始めたところで意味がありません。いや、”意味が無い”は言い過ぎですが、来週出張するのに今から文法やっても全然間に合いません。
急に英語をなんとかしなきゃならないときは、まずこの2つから始めるとよいでしょう。
1.英語の定番フレーズ集で簡単なフレーズをまず覚える
今すぐ書店に行って、英語定番フレーズ集を買ってきましょう。
ネットで「英語 定番フレーズ」で検索すると、定番フレーズを紹介しているサイトがたくさん出てきますが、個人的には出張に持っていけるしどこでも復習できるように1冊ぐらいは購入したほうがいいと思います。
「旅の英会話 定番フレーズ」とか「英会話 定番100フレーズ」、「今すぐ使える○○のフレーズ」、「英語はxx語で話せる 定番フレーズ集」みたいなタイトルです。
出張までに時間が無いのですから、今から文法や単語をやっても大して覚えられません。なのでまずは定番フレーズ集を片っ端から覚えていきます。
このフレーズ集のいいところは、実際に街中で使えるフレーズが簡潔に表現されていて、すっと覚えられるところです。
空港でチェックインするときの定番フレーズから、入国審査、タクシー、ホテル、お店で買い物、食事など、一通りの定番フレーズがシンプルな単語の組み合わせで構成されています。
中にはくだけた表現やかしこまった場所で使うにはそぐわない言い回しもありますが、今は一切気にせず、覚えましょう。
「もしかしてここはちゃんとした英語で話さなければならないところなのでは?」なんて考える必要は全くありません。
もしあなたが、外国人から変な日本語で何かを尋ねられたとき、怒ったりするでしょうか?
変な日本語で話しかけられたらクスっと笑うことはあっても怒りはしないでしょう。
相手も同じように思っています。今はTPOを気にせず知っている限りの英語で話しましょう。
まずは自分の意思が相手に届くことが大事です。格好つけるのはその後でも遅くありません。
2.出張、赴任の使命(ミッション)について予習する
今回、あなたが出張する目的はなんでしょうか?そこでやるべき使命(ミッション)は何でしょうか?まずはこれらを整理します。
例えば、海外メーカの部品をあなたの会社の製品に組み込むため、その取引条件について打ち合わせするとします。
するとあなたの出張目的、ミッションはこんなことが想定されるのではないでしょうか。
- 部品仕様の確認、仕様について質疑。
- 市場での採用実績、リコール実績の確認。
- 製造工程、品質管理についての質疑。
- 購入・発注条件の確認
- 保証条件、アフターサービスについて確認
他にも出張目的に応じていろいろあると思います。
まずは今回の出張でやること、決定したいこと、をノートに書き出します。
もちろんこれは一例ですので、あなたの職種に合わせて出張目的を挙げてみてください。
国内の打ち合わせだと作成しない場合も多いですが、これを作ることで議題(agenda:アジェンダ)が明確になります。
事前に議題を整理することは限られた時間の中で成果を出すためには非常に有効です。
3.使命(ミッション)から想定される質疑を英訳する
次に、どのような会話や交渉になるのか想像してみます。
上の例で言えばざっくりこんな打ち合わせや交渉になるだろう、と想像できます。
- その部品の仕様について質問する。もしくは先方はどんな製品に組み込むのか聞かれる。
- その部品の製造工場、工程、品質管理方法について質問する。
- その部品の採用実績、輸出実績、不良率などについて質問する。
- その部品を購入するにあたっての条件(最低発注数量)と価格について質問する。
- こちらからのカスタム注文についての対応可否について質問する。
あとはこれらの打ち合わせ想定に基づいて、聞きたいこと、質問すること、交渉することの想定文を英訳していきます。
今「英語の定番フレーズ集」を読んでいるレベルでこれらの想定問答を自分で英訳するのは難しいかもしれません。その場合は会社で似たような業務をやっている英語の出来る人に聞くとか、google翻訳でも構いません。
最近の機械翻訳は以前よりはまともな英文を吐き出してくれるようになりましたが、それでも人間の翻訳に比べると多少違和感のある英文であることは否めません。しかしその変な機械翻訳の英文でも十分意思疎通ができます。
大事なのは事前に準備をして望むことです。
事前に準備した通りに会議が進まないとしても、このとき作った想定会話集や質問内容は必ず役に立ちます。少なくとも「こんなこと聞きたかったのに、英語でなんて言えばいいのかわからなくて聞けなかった。」というリスクはかなり下げられます。
特に疑問文は名詞を入れ替えれることで質問全般に使いまわし出来ますから、一度作っておくとかなり便利です。
出張前は忙しくてフレーズ集とか考える暇がない!という人は
とは行っても、出張前は忙しくて英語だけに時間を割けない!という人も少なくないと思います。
そういった人には、7+Englishのような、会話フレーズ丸暗記型の教材を使うと、出張前の準備負担をぐっと減らすことが出来ます。
https://english-no-problem.com/review/post-818/
https://english-no-problem.com/review/native-english-review/
本来は基本的な文法を学んだ上で会話フレーズを学習するのがいいのですが、出張まであまり時間が無いのにその時間を文法学習に充てるのはもったいないです。
市販の教材を使えば、少なくとも私がやったような「想定会話集」や「フレーズ集」を作る手間が省けますし、その時間をフレーズ学習の時間に充てることができます。
実は大事なのは英語ではない
勘の良い人はもう気づいているかもしれませんが、実は海外ビジネスで大事なのは英語ではありません。
大事なのは、きちんと議論が出来る論理的思考と問題解決力です。
論理立った説明や会話は万国共通ですし、問題解決力を発揮できる人がキーマンと認識されるのです。これは国内のビジネスでも同じですね。
企業の目的は「利益を上げる」ことであって、あなたと個人的にお友達になるのが第一の目的ではありません。
逆の立場で考えるとよくわかります。
いくら先方の日本語が流暢でも、会議や交渉で議論がかみ合わなかったり、一方的な話で妥協点を見いだせないのだとしたら、あなたはこんな人とビジネスをしたいと思いませんよね?
一方で、一生懸命論理的に説明して、なんとか妥協点を見つけてビジネスを成功させようとする姿勢が見える人であれば、たとえ日本語が下手でもお付き合いしたいと思いませんか?
一生懸命で真摯なビジネスマンからはビジネスの成功とその先の果実(利益)がイメージできます。
英語はあくまでもツールに過ぎません。
大事なのは、
- 論理的思考
- 下手な英語でもなんとか伝えようとする想い
- ビジネスを成功させようとする想い
です。ここがブレなければ、英語が下手でもなんとかなるものです。
そう思うと少しは気が楽になりませんか?
あとは可能な限り時間を捻出して、英語を勉強していくだけです。
海外出張してきたものの、本来確認すべきところを確認し忘れたり、交渉すべきところをすっかり忘れてた、では「一体何しに行ってきたの?」との叱責は免れません。「だって英語の出来ない私に言って来いって言った課長が悪いんでしょ!」と開き直ったところで、あなたの評価は元には戻りません。
そうなる前に、最低限のフレーズと海外出張のミッションを明確にして可能な限り準備をして望むべきです。“準備に勝るものなし”です。
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